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しばらくして試合の用意が整い、道場の一角に2組分の試合場が確保された。

道場の壁に貼られた模造紙を見ると、試合参加者は10人。

俺の知っている平井・荒井はそれぞれ違うブロックに入っている。

あと橘・・・彼は平井と同じブロックに入っている。

10人トーナメントでは4人のノーシード選手が発生するが、平井はそれらの

うちの一人だ。同じブロックの橘は、平井がノーシード戦を勝ち抜いた場合、

対戦が実現することになる。

 

「では、さっそく第1回戦を始めます。・・・第1試合場、平井対山口、

第2試合場、丸山対火野!」

吉岡の声に導かれ、平井をはじめとする4選手が続々と試合場に入ってくる。

 

平井の相手は、色が白くてどっしりした大柄な男だ。山口というらしい。

黄色いビキニがはち切れんばかりにふくらみ、中のものの形がくっきりと分かる。

平井は俺と戦ったときと同じ白いビキニ。山口と同じくすっかり勃起している。

軽いにらみ合い。山口よりも頭一つ低い平井が、大柄な山口を見上げる形だ。

見下ろす山口の眼にもどことなくすごみが感じられる。

 

「どっちが勝つかなあ・・・この組み合わせは見たことないなあ。」

振り向くと、俺の右後ろで橘が腰に両手を当て、荒井に話しかけている。

橘は髪を全体的に短く刈り揃え、整髪料で前だけ丁寧に立ててある。20代後半か。

ゴツゴツとした筋肉はついていないが、締まった肉体と顔立ちにどことなく男を感じさせる。

 

「やっぱ1回は勝ちたいすからね・・・よく見とかないと。」

橘が腕を組み、じいっと試合場を見つめる。

「大丈夫だよ。橘くん強いからな。勝って決勝でおれとやろうぜ。」

荒井が橘の肩を持って強く揺さぶる。たしかに荒井は反対のブロックに入っていた。

荒井が決勝に上がれる実力者なら・・・俺も・・・。

 

「あ、そろそろ始まるみたいですよ。」

橘の言葉に押されて、試合場に目を移す。

二組の選手が握手を済ませ、69の体勢に移っている。

「じゃあ、いきますよー。」

いつの間に終わらせたのか、ジャージを羽織った門馬と吉岡が各試合場の真ん中に進み出てきた。

「どうも、よろしくお願いします。」

荒井の言葉に吉岡が軽く会釈し、すぐ試合場にさっと向き直る。

「用意! ・・・・はじめぇ!」

 

 

試合が始まった。クチュクチュという4つの攻め音が、静まりかえった試合場に混じって響く。

それぞれ2つのタオルを持った吉岡と門馬が、軽く動きながら試合を押し黙って見守っている。

「あの2つのタオル・・・何ですか?」

「ザーメン拭きですよ。今日は全試合放出戦なんで、負けた方が自分の出したものを

 タオルで拭き取るんですよ。できることなら最後まで使いたくないっすねえ。」

橘がそう言ってニコッと笑う。

 

なかなか試合は動かない。さすがDランク、秒殺で負けるようなヤツはいないということか。

もちろん効いているだろうが、でも相手の責めにピクリとでも足を動かしたら相手につけ込むヒント

を与えてしまう。

糸を引くような、ねちっこい責め合い。

4人とも相手の股間に頭を突っ込んで思い思いに頭を動かしている。

それにしても、みんな責め慣れている。

熟練の口技と、各々の口からのぞく相手のマラの状態を見ればよくわかる。

むきだしで無防備な竿。これに自分の持てる技術の全てを駆使してひたすら舌を打ち込む。 

 

みな20代から30代。同ランクなら実力も紙一重であろう。

相手を一秒でも早く落とそうという4人の気迫がビンビン伝わってくる。

 

これだけの責め合いを演じられれば、巷ではみな69の達人であろう。

しかしいくらフェラがうまくとも、試合で相手の強烈な技にかかってザーメンを

噴き上げてしまえば「負け」。

どんなに実力が拮抗していようと、試合の勝敗は残酷なまでに双方の実力差を語るのだ。

そう考えると、ここはけっこうシビアな世界である。

 

すでに5分が経過している。

まだ、試合は動かない。

でも我慢汁はウソをつけない。いくら足で動揺をあらわさなくとも、相手の技がきまっていれば

ひとりでに我慢汁が出てしまう。

そろそろ、誰かの口の中で化学反応が起こっているはずだ。見えないところで試合が動いている。

勝っているのは・・・誰だ?

 

 

 

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「あっ、あれ・・・」

橘が向こうの試合場を指さす。

紫の競パンを膝に引っかけたアンコ型の選手の足が動いている。

「火野」だ。声こそ上げないものの、火野の白い太ももがぎゅっと閉じ、ゆっくりと開く。

 

「効いてますよね、あれ」

丸山がクイと頭をひねる。火野の右膝がピクンと動く。

「おーし丸山さん、相手効いてる効いてる!」

向こう側で背の高いパンチパーマの男が大声を張り上げた。

丸山と呼ばれた男がますます大きな音で相手を責め立てる。

 

「くっ・・・んん・・・・」

丸山の技に圧倒されながらも、首だけ動かして丸山の股間に食らいつく火野。

「丸山さんいいよお! 一気に決めちゃえよ!」

さっきのパンチパーマの男だ。あいつも緑のアンクルベルトをしている。

このトーナメントにも参加してるのか?

 

 

手前の試合に目を移すと、白ビキニをズリ下げられた平井の腰がかすかにヒクついている。

膝が軽く開閉し、さかんに自分を責め立てる相手の頭を強く挟む。

かまわず山口は頭をぐいぐいと動かし、相手の太竿に強く吸いついて大きな音を立てる。

「山口は舌技がうまいからねえ。初顔合わせの平井君にはきつい試合だと思うなあ。」

荒井が右眉を上げてニヤリと笑う。

平井も負けずに山口の太い男根で大きな音を立てるが、山口は涼しい顔をしている。

効いていないのか、それともハッタリか。

 

山口がじりじりと平井の体にのしかかってくる。

「・・・やばいねえ・・・山口が勝負きめにきてるよ・・・」

荒井が眉を寄せて太い腕を組み直す。

 

 

「───ああおっ!」

向こうの試合場の声。

火野が口を放し、巨体を反り上げて畳に頭をすりつけている。

・・・ついに堪えられなくなったか。

「おっとーせ! おっとーせ!」

会場の一部から「落とせ」コールがわき上がる。パンチパーマのいる一角だ。

 

丸山がアンコ型のでかい腰をがっちりと両腕に固め、頭を股間に埋めてすごい速さで前後させる。

「・・・うううう・・・ぐわあっ・・・」

悶絶する火野。太い足をバタつかせて必死にもがく。

しかし丸山にがっちり抱きとめられて、逃げることができない。

「・・・あっ・・・おう・・・」

丸山が時折頭をグルリと回すたびに、火野の右足がビクンと伸びる。

悶える。顔を大きくゆがめ、口を半分開いてハァハァと息をしている。

「・・・ぐうおおおお・・・」

丸山のグチュグチュという責め音と、押し殺すような火野の呻き声。

「きまったな」という声が聞こえてくる。

 

 

 

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「・・・おおおおおおおおおう!!」

火野が畳をバンバンバンバンと4回叩く。

丸山が口を放すと、火野の反り上がったマラがブルンと飛び出してドクン、ドクンと

白い粘液を思い切り噴き出す。

「いっぽん! それまでぇぇ!」

吉岡のでかい声。ワーッという歓声と拍手が重なる。

「丸山の圧勝だったなあ。こりゃ厳しい試合になりそうだ。」

荒井の2回戦の相手は、丸山なのだ。

 

ややあって丸山が体を起こす。吉岡が丸山の手を高々と挙げると、丸山が回りの選手に

誇らしげに力強くガッツポーズしてみせる。

丸山のアゴから胸にかけて、火野の噴き上げたザーメンがべっとりとついている。

 

火野の方は仰向けのまま動かない。でかい腹だけが、荒く上下している。

その腹にもザーメンがべっとりついている。・・・ド派手に負けてしまったようだ。

 

 

山口vs平井の方は、山口が完全に平井の上に乗り上げ、がんがんと攻め込んでいる。

平井の膝がひくひくと動く。太ももが、山口の顔にズリズリとこすれる。

・・・いくら平井といえど、そろそろ年貢の納め時か。

 

と、平井が山口の尻に両手をかけた。

 

自分の口にズンと山口のマラを押し込む。

「!」

山口の両脚がピクンと動く。

 

平井が山口の両脚に腕を通し、がっちりと脇に巻き込む。

平井が頭をクイと動かす。

山口の腰がぴくんと跳ねた。

 

「あっ!」

俺が思わず声をあげる。

俺が・・・やられた技だ。

 

 

 

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「・・・・・・!!・・・・・!!」

対戦相手の太い竿を根元まで突っ込んだまま、平井がガンガンと頭を動かす。

山口の両脚が宙に浮き、クイクイと動いている。

「なんだ、ありゃ?」

荒井が体を乗り出す。荒井はあれを初めてみたのか。

 

平井の振幅が大きくなる。山口の巨体を乗せたまま下から相手のマラをズンズンと刺激する。

山口の足の動きが次第に激しくなり、ついには口を放して「あうぐ」うめき声を上げる。

会場の歓声。平井の怒濤の反撃だ。

 

「ぐっ・・・あおっ!」

山口のあえぎ声。俺と全く同じ展開だ。優勢で油断したところを狙いすました平井の逆転技。

「・・・ぐわあっ・・・」

山口の腰がくねくねと動く。逃げ道を探しているようだ。

しかし、逃げれば逃げるほど効く。

同じ技で平井の軍門に下った俺には、それが手に取るように分かる。

山口の両脚がピンと伸び、足先が強く畳を押さえる。

二本のつっかえ棒だ。伸びた膝がわなわなと震えている。

 

「すげえ技・・・いつあんなの覚えたんだ?」

荒井の目が釘付けになっている。黒い競パンが大きく持ち上がっている。

「うおお・・・」

橘のダークグリーンの競パンもテントを張っている。自分がやられるところを想像しているのか。

 

ややあって、平井がゴロッと横に体を倒す。

山口の腰が畳でどすんと音を立てる。・・・これも俺のと同じやり口だ。

今ので山口の亀頭が強く喉に擦れたはずだ。

「・・・ぐうおおおおっ!」

突き出された山口の太い足が俺達の方へ伸び、ビリビリと震えている。

 

それから10秒たったろうか。

「・・・がはっ・・・」

山口の声色が、軽く変わった。

 

平井がさらに細かく頭を振り立てる。

「・・・あっっ、いくいくっ、いくっ!!」

たまらず山口が平井のケツをバンバンと叩く。

平井が口を離すと、山口のマラがビンと強く反り、ジュッ、ジュッ、と多量のザーメンを噴き出した。

「───いっぽん! それまで!」

門馬が右手を真っ直ぐに挙げ、太い声で大きく一本を制した。

 

またも大きな拍手が起こる。・・・13分20秒、平井の一本勝ち。

「・・・すげえなあ・・・」

橘が小さい目を見開いてその様子を見ている。

 

「・・・おおおおっ・・・」

全身を脈打たせ、重低音の声を響かせながら、山口がまだザーメンを放出している。

よほど強烈だったのだろう。

腕の中でヒクヒクと痙攣する山口の巨体を、無表情で見つめる平井。

勝者の残酷な目線だ。

 

しばらくすると、腕の中でがっくり力の抜けた山口の体を無造作に捨て、平井がすっくと体を起こす。

門馬が平井の右手を高々と上げる。照れくさそうに笑う坊主頭の平井。

平井の分厚い胸板にべっとりとついた山口の白く粘っこいザーメンが、激戦のあとを物語っている。

 

「あの技食らったら、さすがの俺もちょっとわかんねえよなあ。・・・橘君も気をつけろよ。」

荒井の声に橘が苦笑いしてみせる。

「あれやばいっすねえ・・・でも逆転技はとっくりと見せてもらったわけだし、先輩として

 あれと同じ技で沈むわけにいきませんよ。ベテランの味を平井君に叩き込んでやんないとね。」

ちょっと冗談めかして言ってみせる。

 

はたして・・・?

 

 

 

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「ええと、これから2回戦を始めますんで、第1試合場に荒井選手と丸山選手、

第2試合場に斉藤選手と中村選手、それぞれ待機してください。」

第1試合のざわめきが収まらない中、吉岡が壁のトーナメント表を見ながら進行する。

取り巻きの輪の中から、呼ばれた選手がむっくりと立ち上がる。

あのパンチパーマの男だ。・・・中村というのか。

 

右側の試合場、中村が相手に向き合う形で正座する。

小さい目に、細めの眉。パンチパーマの合う、いかにも喧嘩っ早そうな顔つきだ。

肩幅は広くないが、締まった体にバランスのいい筋肉がのり、黄色の競パンに

勃起したマラがくっきりと浮き出ている。

対戦相手の斉藤は、栗原に似たマッチョ体型に、ほどよく脂ののった感じだ。

スカイブルーの競パンと五分刈りに切りそろえた頭がよく似合う、けっこうな男前だ。

たたずまいも、ただジムで鍛えただけではない雰囲気を持っている。

中村のきつい視線に戸惑うでもなく、しっかりした視線で中村を直視する。

気迫では五分と言ったところか。

 

「あー、すいませーん。」

シャワー室から、朱色の競パンを履いた丸山が出てきて、胸板を軽く揺らしながら

小走りに試合場に駆け込んでくる。

丸山は中村と対照的に、眉が太くて目も大きい九州系。ユーモラスな笑顔が身に付いている。

荒井と似た柔道体型だが、腹はさほど出ておらず全体的に力強さを感じさせる。

ビキニ競パンも大きくふくらんでいる。先程はアンコ型の男を圧倒しただけあって、

股間の方もダメージを受けておらず、やる気十分である。

身体は小柄ながら、股間のサイズは荒井といい勝負か。

 

丸山がすでに座っている荒井の前に正座する。

二人ともやや目を落とし気味に相対しているが、静かな闘志が両者から感じられる。

「あの二人は結構やってるから、いい試合になるんじゃないすか?」

橘がニヤニヤしながら言う。そう言えば同年代で体つきも似ている。

お互い意識し合っても不思議ではない。

 

 

二人の審判の合図で、4人が試合の体勢に入る。

 

 

「───はじめぇ!!」

 

・・・静かな出だしだ。4人とも相手のを中程までくわえてグリグリと頭を動かしている。

静寂の中に、クチュクチュという湿った責め音がこっちまで聞こえてくる。

いやらしい責め合いだ。見ているこっちが勃起してくる。

 

ねちねちと上下する荒井の口から丸山の太竿が4センチほどはみ出て見える。

赤黒く勃起し、太い脈が見える。遠くから見てもなかなか迫力のあるマラだ。

敵の竿をそり上げ気味にしゃぶる荒井。丸山は平然とこれを受けるが、どこまで効いてるのか。

丸山は荒井のマラを亀頭だけ集中攻撃する作戦のようだ。顔を離して荒井の竿をほぼ露出させ、

大きいカリ先だけを丹念に責めている。これも効きそうだ。

両者とも足は動かない。Dランクではベテランの二人、2分で効くわけにはいかないのだろう。

さっきまでの和やかな雰囲気はもうない。二人とも本気で相手を倒しにきている。

 

 

「───おおうっ!」

突然、一つの呻き声が試合場に高く響いた。

 

 

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