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 日曜日の「T」。

今日は、少し年齢層の高い団体がリング周りを占拠している。

こっちの世界の、オッサン柔道団体と言うべきか。日曜日の午後に開かれる定期的な稽古が

終わって軽い休憩を取った後、たまにこうやって違う汗を流しに来るのだ。

俺もときどき参加している。柔道家としてのピークはみな一昔前に過ぎ去っているが、一度

身体に染みこんだものは、そう抜けないものだ。30代から40代が中心の団体だが、みん

なパワフルでいい稽古をしている。それにしてもまさか今日鉢合わせするとは思わなかった。

稽古後だけあって、みなどこかしらに道着のこすれた赤い痕が残っている。

柔道で上がったアドレナリンを、ここで発散しに来ているのだろう。

 

リングには二人のレスラーがスタンバイしている。

山本と吉田。二人とも40前後、多少山本が年上か。

山本は170センチ台前半で、公称80キロ。おそらく85キロはあるはずだ。

脂は乗っているが、ごつい体つきだ。俺もよく組ませてもらうが、いったん守りに入られる

と岩のように動かない。

学生時代は60キロ台前半だったというが、おそらくウソは言っていないはずだ。

学生時代に重量級でやっているようなタイプは、大人になるともっとすごいことになる。

顔も一見コワモテに見えるが、温和な性格が表れていつもニコニコしている。その表情から

女の子どもがいるでしょうとよく言われるらしいが、もちろん子どもはいない。

 

吉田は160センチ台後半で、俺とそう変わらない。体重も公称75キロ、実際は78キロ

ぐらいだろう。少し俺より重い。丸っこい体型だが、いわゆる固太りというやつだ。

メタボ規準にはしっかり引っかかるが、接待に追われる吉田の仕事内容から考えれば、まあ

現状をよく維持している方だろう。

吉田も性格は丸く、忘年会や新年会でも幹事を務めさせられることが多い。柔道もあまり攻撃

的ではないが、駆け引きに長けていて引きつけも強いので、ガッチリ捕まられるとなかなか

抜け出せないのが怖いところだ。

 

そんな二人が、ケツ割れ一丁でリングに上がっている。

同年代を規準とすればセックスは二人とも強く、ケツ割れの中身もきつくふくれ上がっている。

試合を前にしても、二人とも腰に手を当ててニコニコと何か話している。

いつものレスラーと違うのは、さすがに二人とも背中と肩が発達していて、腕も太いことだ。

組技系の格闘技は、胸板よりも肩と背中に現れるので、一見猫背に見られることも多い。

そういう部分は、こういうところで裸にならないとわからないことだ。

いかにも試合に慣れたベテランレスラーといった風格だが、しかし柔道と同じく二人とも粘

りの責め合いを演じ、ともに戦績もなかなかいい。試合が始まれば死闘になるはずだ。

 

 

「赤コーナー、山本さん!」

レフェリーに名を呼ばれると、山本がニコッと笑って右手を真っ直ぐに突き上げて拍手を誘う。

「青コーナー、吉田さん!」

吉田も同様に右手を挙げ、山本の方をチラッと見てアイコンタクトらしきものをとっている。

二人をリング中央に集めてレフェリーが何事か注意を与えているが、もちろん二人には全て

了解済みのことで形式的な注意に過ぎない。二人とも気楽に聞き流しながら思い思いのスト

レッチをして、これからの試合に備えている。

 

レフェリーの指示で、二人ともケツ割れを下ろす。

試合前で立ち上がった男根が、ぶるんと顔を出す。ニコニコはしていても、さすがに試合前

となれば何か意識してしまうのだろう。二人ともきっちりと立っている。

サイズは15から16センチぐらい。今時のでかい若者からすれば大したことないかも知れ

ないが、平均からすれば二人とも自慢の太マラだ。

 

どちらからともなく、二人が足を組み合わせる。

今日の試合はしごき合いで行われる。無制限でもちろんギブアップなし、どちらかが噴くま

で試合は続行される。

とはいえ、このベテラン二人の試合ならそう長くはかからないだろう。どちらも、互いの技に

そう長くは耐えられないはずだ。

 

試合が始まるまでの、しばしの緊張の時間。

さっきまで笑い合っていた二人も、さすがに笑みが顔から消えている。

レフェリーからオイルが渡される。山本が手刀を切って受けとり、十分な量を右手に出す。

吉田が手を出すと、山本がそちらの方も十分に出してやる。

無言で二人が両手でオイルを伸ばしている。・・・このオイルのついた手で強烈な技を打ち込み、

相手を昇天に導くのだ。

そういう光景を見せ合うことで、互いの股間が一段と元気になっていくのが面白い。

 

 

「はじめぃ!!」

レフェリーの声とともに、二人がガッチリと組み合った。

 

 

 

 

(グチュッ・・・・グチュッ)

静かな立ち上がり。すでに鋭角に突き立ったマラを互いの分厚い手に包み、グチュグチュと探るような責め。

山本は吉田のズルムケの亀頭を右手につかみ、左手で支えながらキュッ、キュッとひねる。

吉田は両手で全体をなで回して山本の勃起力を維持しながら、時折亀頭をゴリッと撫でる。

 

互いに様子を見る展開。静かだが、決して責め控えているわけではない。

ともに、若い者が食らえば1分も持たないような攻め技。互いの神経を削り合い、自分の技

に相手がガクンと落ちるのを、辛抱強く待つ。

 

両手で技を繰り出しながら、前のめりになってじっくりと目を合わせる。

・・・にらみ合っているわけではない。相手の目の動きを読み、呼吸を聞き、わずかな動揺

をセンサーのように読み取る。

能面のように、無表情。これだけの技を食らえば、普通は何かしらの変化が顔に表れる。

でも、今動いてしまったら相手につけ込まれ、昇天まで一気に持って行かれる。

真剣勝負となればお互いに遠慮などしない。普段の稽古でそういう暗黙の了解が互いに染みついている。

この二人なら、相手が失神しても責め続けるはず。・・・それが互いに分かっているのが苦しい試合だ。

 

 

2分・・・3分。

両者の太腿が軽く上下し始める。・・・当初はしごき合いの振動に紛れていたが、今の状態は

振動と呼ぶには少し不自然なまでに大きい。

山本は吉田の上反り男根のカリに手を掛け、裏スジに手の平を合わせて大きく回す。

吉田は山本の亀頭を押し下げるようにつかみ、亀頭前部をこすり上げるように振る。

強烈な亀頭責めに、互いの鼻息の音が少し高い。・・・少しずつ、効き始めている。

どちらかが馬脚を現すのは、間違いなく時間の問題だ。しかし、それがどっちなのかは皆目見当がつかない。

・・・今は互いに敵同士、相手が陥落するまでの1秒1秒をひたすら耐え、強烈な技をひたすら

打ち込みつづけるしかない。

 

どっちも負けたくない。腰の奥からこみ上げるものを、レスラーの意地ひとつで必死に抑え

ているのが手に取るようにわかる。

 

 

 

「・・・山本さん・・・」

 

 

突然吉田が、その沈黙を破った。

 

「・・・ぶっといすねぇ・・・頑丈で、かたくて・・・うらやましいっすよ・・・」

駆け引きを、そっちの方向に移したようだ。山本が、ニコッと笑う。

「・・・いやいや、吉田さんこそ・・・私よりずっとかたいじゃないすか・・・ほら・・・」

山本が吉田の亀頭を片手で包み、スティックハンドルのようにグルグルと回す。

吉田が大きく息をする。

「・・・あれ、効いちゃったっすか?」山本が目尻に皺を寄せる。

 

「・・・いやあ、私の方は、まだまだ・・・・」吉田も山本の筋張った竿をクイクイと撫でる。

「・・・こんなにがっちり立てて・・・先輩の方に先に、イッていただかないと・・・」

ぐちゅっ、ぐちゅっ、と音を立てる。山本の方は、依然として笑みを崩さない。

「・・・・・・・・・」

しかし、言葉の方は出てこない。

 

「・・・あれ、山本さん・・・」吉田が、頭一つ高い山本の目をじっと見上げる。

「・・・どうしたんすか・・・今日は一段と静かで・・・」

くいっ、くいっと手を回しながら吉田が山本を煽る。

「・・・いや、私の方は全然、いつもこれくら・・・」

山本の声に合わせて吉田がひねりを与えると、山本の声が止まる。

 

 

 

「・・・あれっ、キマっちゃったかな・・・」吉田が手を速め、しごきの体制に入る。

山本の鼻息が荒くなる。でかい左手で吉田の肩をつかみ、山本も手を速める。

「・・・いえいえ・・・こっちの方は気を遣わなくていいっすよ・・・」

声を多少震わせながら、山本が吉田の目をじっと見つめる。

 

吉田の方も鼻息は荒い。なんだかんだ言って、こっちも効いているのだ。

「・・・山本さんさえ、気持ちよくイッてもらえれば・・・」

「・・・いや、吉田さんの方こそ・・・」山本もしつこく食い下がる。

 

とつぜん吉田が山本の亀頭をつかみ直し、きゅきゅっとひねる。

不意討ちに山本がアッと声を上げ、でかい身体を小さくすくめる。

「・・・おっ山本さん・・・気持ちいいっすか・・・」

 

「・・・いや、俺はまだまだ・・・」

「・・・俺結構技に自信あるし、ここは山本さんに一発、ドカンと・・・」

「・・・俺だって自信ありますよ・・・吉田さんのガマン汁が、こんなに・・・」

互いの口調が、微妙に変わってきている。

 

「・・・吉田さん・・・」

額をつけたまま、山本が吉田の首スジを持ってぐっと引き寄せる。

「・・・効いてんでしょ、ねえ・・・隠しても分かるんですよ・・・」

山本が声にぐっとドスがきかせ、低く耳もとでささやく

視線もするどく、柔道部時代の習慣が戻ってきたようだ。

「いや、こっちも勝負っすから・・・ここは山本さん、おとなしくイッてもらいますよ・・・」

吉田の声も、変わってきている。互いに地を出し合うことに、暗黙の同意が成立したようだ。

 

互いに左で肩を抱き、ガッチリと組んで高速で手を上下させる。

互いに視線を絡ませ、1秒たりとも放さない。武道家同士の真剣勝負。

鼻息をフーッ、フーッ、と吐きながら、目の前の相手にぐいっと睨みをきかせる。

 

しかし、それも続かない。吉田が一瞬変化し、山本のエラの張った亀頭に手を掛けた瞬間、

山本の膝がガクンと跳ねる。

「・・・ぐお・・・」たまらず山本が一発吠える。

「・・・おっ、山本さんいい声っすね・・・」

山本の目から視線を逸らさずに、吉田が山本をぐいっと見上げる。

「・・・どうっすか・・・山本さん・・・そろそろ出しときますか・・・」

 

 

「・・・冗談じゃないっすよ・・・こんな技で、俺が・・・・」

そういった瞬間、先ほどから刺激されて潤みがちだった山本の目から、ひと筋の涙がこぼれ落ちる。

慌てて山本が涙を腕で拭き取る。

「・・・こんな技っすか・・・・・・こんな技で山本さん、しっかり効いちゃってんじゃ

ないですか・・・」

山本の亀頭をゴリゴリと撫でながら、吉田が追い討ちをかける。

ウッ、ウッ、と言いながら、山本がブンブンと頭を振る。

どんな勝負であっても、最後まで勝負を捨てない男だ。

 

「もうあきらめましょう山本さん・・・今日はちょっと、相手が悪すぎましたよ・・・」

吉田の挑発に、山本がムッとしたように、吉田の額に自分の額をゴツンとぶつける。

パワーと体格の差で、吉田が少し圧される。

負けじと吉田が手を速める。山本のヒザが、また軽く浮く。

「柔道じゃあれっすけど・・・・ここは山本さん、タップリ出してもらいますよ・・・」

「・・・ぐっ・・・おうっ・・・」

山本の額に青筋が浮き、目がトロンとしている。

 

「・・・くっ」

山本が負けじと手のひらを返す。亀頭を煽られて、吉田の身体もピクンと反応する。

「・・・キイてんじゃねえか・・・・いっちまえ、こら・・・」

山本は完全に豹変している。土俵際に追いつめられた男の必死さが伝わってくる。

 

吉田は何も応えない。じっと山本をにらみ据えながら手を動かす。

「・・・だっ・・・・くそ・・・・」

ついに責め負けて、山本が手を放してしまう。

吉田が無言で音高くしごき上げる。

「・・・ぐわぁっ・・・・あああああ!!・・・・・」

吉田の力強い責め。手の振動で、マットごと二人の身体が小刻みに揺れ続ける。

ハァハァと息を荒くし、両手で吉田の広い肩をつかみながら山本がガクンガクンと反応する。

 

 

 

 

「・・・だめだっ・・・まいった!!」

山本が細い目を精一杯見開き、一気にのぼりつめる。

しかしこれはギブアップ戦ではない。吉田は何事もなかったように相手の股間でグチュグチュと音を立てる。

 

「・・・・・がはっ!!」

山本の筋張った背中が硬直し、オウッという声とともにガクン、ガクンと痙攣する。

 

 

 

「・・・おい審判! 山本さんがイッてるよ!!」

審判がその声に押されるように右手を真上に挙げ、「一本!!それまで!!」と声を張り上げる。

山本が力を失ったように上体を前傾させ、吉田の胸板にガクッと身体を預ける。

吉田に身体を預けたまま、山本の身体がぴくっ、ぴくっ、と痙攣している。まだ少しで出しているらしい。

吉田は山本の竿をがっちりとつかんだまま、黙ってなすがままになっている。

試合が終わればオッサン同士、武士の情けだ。

 

 

 

放出が終わると山本が力を失い、上体を後ろに倒してドスンとマットに音を立てる。

大の字の状態で、まだガクン、ガクン、と痙攣している。

吉田はまだ山本の竿をつかんだまま、その様子を無言でじっと見ている。

両者の間には山本の身体から飛び散った白い粘液が何筋もついている。

相手の吉田の腹にも幾筋か飛び散っている。・・・40代前半の山本としては、たくさん出た方だろう。

 

やっと痙攣が治まったところで、山本が緩慢に身体を起こす。

全力勝負で吉田に敗れた直後だけに表情はやや悔しそうだが、それでも一対一の闘いに慣れた

リーマン武道家同士、全力でぶつかり合った後はスッキリしたものだ。

山本がニコッと笑って吉田の分厚い肩をぽんぽんと叩く。

吉田もいつもの笑顔に戻り、立ち上がって山本の顔の前にぐっと腰を突き出す。

山本はなすがままに吉田の固く立ち上がった男根を右手でつかみ、ゆっくり口に押し込む。

・・・試合直後、このグループにいつも見られる光景だ。

山本の頭が動き始めると吉田がはやくも「おうっ」と声を上げ、山本の頭を両手で支える。

山本はフェラも強い。・・・・この二人のフェラ勝負も見たことがあるが、そのときは

山本の強烈なフェラ技の前に、あえなく吉田がマットに沈んでいる。

 

そのときのこともあってか、吉田もなかなか土俵を割ろうとしない。

山本の頭を両手で抱え、ズンズンと突きながら相手の技を耐えている。

 

しかし山本も意地がある。逆に吉田の腰をガッチリと捉え、ぐるんぐるんと頭を振る。

「・・・ぐへっ・・・」吉田が顔を真上に向けて、一気にのぼりつめる。

ほどなくして吉田が「・・・くっ、あ・・・」と声を上げ、山本の顔の前でガクン、ガクンと

腰を反応させる。

どうやら、イッているらしい。・・・この分では、いまフェラで闘っても吉田に勝ち目はなさそうだ。

リングで柔道仲間に力ずくでイカされた山本の意地が、こんな所で炸裂した形になった。

 

レフェリーが用意した紙コップに山本が口の中のものをドロッと吐き出し、そのコップを左手

に持ちかえて吉田とガッチリと握手を交わす。その後ろから拍手がパチパチパチと鳴り響く。

 

 

握手が終わったところでレフェリーが吉田の右手を挙げ、「一本勝ち!!」と宣する。

再び拍手が起こる中、山本が「くっそー」と言いながら吉田の胸板を平手でバンと叩く。

吉田もニコニコ笑いながら山本の首スジをつかんで軽く揺さぶる。

いつもの稽古で見せる、二人の普通のコミュニケーションだ。

 

 

二人仲良くリングを降りる。

「今日は私の秒殺っすかね。」

「いやいや、でも次は勝たしてもらいますよ。今日の分たっぷり出してもらわないと」

「何言ってんですか、この次も返り討ちですよ」

そんな会話とともに、二人がシャワールームに消えていく。

 

 

平日は人畜無害なリーマン二人のつかの間のレスラーごっこ。

柔道に続くこの「第二部」も、今日もつつがなく終了したようだ。

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