06
■▼
木下が武井を解放すると、武井が脱力したようにごろんと横になる。
「残酷だけど、今日は完敗だったなあ・・・何しろ木下さんの詰めが良かった。」
「終わったみたいっすね」
俺が朝木の方を向くと、朝木はにっこり笑って首を振る。
「いやあ、まだちょっとした儀式が残ってるんですよ。」
「儀式?」
「さっ、武井さん!」
木下が言うと武井が観念したように木下の方を向く。
「・・・おらっ! 武井さん、まいったかあ!」
木下の竿から濃い液体が武井の頭から顔にかけてびゅっ、びゅっ、と噴き出す。
「・・・ちきしょお・・・」
武井も悔しそうに顔をゆがめながら素直にそれを受けている。
どうやら最後に勝者が敗者に顔射するのがきまりのようだ。
ややあって、武井が木下を連れてリング場の奥にある扉に入っていく。
「あそこはシャワー室になってるんですよ。」
朝木が奥の扉を指さして言う。
「・・・あれ? やりたいんですか?」
朝木の視線は、真っ直ぐ俺のギンギンに立った股間に当てられている。
「・・・そりゃあ・・・目の前であんなモノを見せつけられちゃあ・・・」
「吉岡さーん! ひとつもう1試合組んでもらえませんかねぇ?」
朝木が奥の男に声をかける。
「・・・え、ちょっと・・・」
「いいですねえ。・・・どうです?彼と試合してみたい人いますか?」
吉岡が例の重い声を張り上げると、奥の方で一つ手が上がる。
「・・・俺でいいっすか?」
見るとさっきの坊主頭の青年だ。柔道でもやっていたのか、肩幅があってガッチリしている。
年は俺とほぼ変わりないだろう。・・・これも同世代対決って感じかな。
あっちの方はどうだろう? 俺はまだここの人の実力なんてちっとも分かっちゃいない。
ま、それはお互い様か。
「どうです?」
吉岡が俺の方を向いている。
「・・・わかりました。よろしくお願いします。」
俺は坊主頭の青年に向かって頭を下げた。
「あと、俺は寺田って言います。今度からそう読んでください。」
「俺は平井です。こちらこそよろしくお願いします。」
坊主頭の男がそう言ってニコッと笑った。
07
■▲▼
「赤コーナー、寺田! 青コーナー、平井!」
俺と平井がリング場に向かい合っている。そのすぐ横には審判役の吉岡。
俺はやや緊張した面もちで平井を見る。競パンはここにある備品の中から選ばせてもらった。俺の大好きな黒い競パンだ。
平井はリラックスした様子で、左右にぶらぶらと重心をかけながら、真っ直ぐ俺に視
線を投げかける。目つきはそれほど鋭くない。
平井は案の定いい体をしていた。胸板もそこそこ厚いがそれよりも肩から腕にかけての
広がりが武道家としての年季を感じさせる。足も太く、バネを感じさせる。だいたい
168*76ぐらいだろうか。白い競パンははち切れんばかりにふくらみ、中で大きく
右に傾いたモノがすこし覗き見える。ちょっとシミが付いてるのはご愛敬か。俺も人の
ことは言えない。
「寺田君は試合初めてなので、少しだけルールを説明しますね。」
吉岡が俺の方を向いてそう切り出した。
「試合は30分一本勝負。30分で勝負がつかなかったら判定、引き分けなら延長になり
ます。俺や朝木さんレベルになるとよく判定を使うけど、二人は若いから大丈夫でしょう。」
俺が思わず平井の方を見る。・・・30分以内に決着がつく。
「責め方は当事者の合意で色々選べるけど、今日はフェラマッチでやってました。手コキで
やりたかったらローションを用意するけど、どうしますか?」
「いえ、そのままで・・・。」
俺が戸惑い気味に返すと、平井の眉がぴくんと動く。フェラだけで十分と受け取られたか。
吉岡は意に介さないようでニコッと笑った。
「けっこう。後はガンガン責め合ってもらって、いきそうになったらギブアップしてくだ
さい。基本的に精液は飲ませない方針なんです。あとは見ましたよね?」
「ええ。」
「よし、じゃあ始めましょう!」
俺と平井が寝姿勢になる。平井の白いふくれた競パンが俺の前に来る。
「最初なんで緊張すると思いますけど、平井君もここに来て長いほうではないし、普通の
69だと思って楽しくガンガン責め合ってくださいね。その方が我々も面白い。」
そうは言うが、みんなの前で責められてザーメンを噴くのはそう楽しい経験じゃない。
・・・バカバカしいけど・・・負けたくないなあ・・・。
「じゃあ、行きますよ・・・はじめぇ!」
08
■▲▼
俺と平井は吉岡の声に従ってがっぷりと組んだ。平井の競パンの前をひっぺがすと、平井の元気なモノがぶるんと上に跳ね上がる。
競パンをさらに下げようと苦闘していると、ぐんと快感が突き上げてくる。平井が俺のモ
ノに食らいついたのだ。さすがに経験者は違う。
俺も慌てて平井のやや太目の男根に食らいつく。戦闘開始だ。
クチュクチュクチュクチュクチュクチュ・・・
俺はまず平井の亀頭を重点的に責めることにした。先走りでしょっぱくなった亀頭を上下
の口蓋で引っかけてグチュグチュと音を立て、時折頭をひねる。
ピッタリとくっついて相手の様子は分からないが、平井はどうやらディープスロートで責
めているようだ。タマに平井の暖かい鼻息がかかる。俺のマラはズルムケで刺激には強い
方だが、こうもしつこく亀頭を喉で洗われると30分粘る自信はなかった。さすがにここ
にいる奴らは他の素人とは違うということか。そのまえにこの男を仕留めるか攻撃を止め
ないと俺の勝利はない。
(・・・この勝負・・・やっぱり30分できまりそうだな・・・)
10分。
俺が何度目かのヒネリをくわえたとき、平井の太股がピクッと反応した。
「!」
会場がざわつく。どうやら俺の技が効いたようだ。
さらにヒネリをがんがん入れてやると平井の太股が緩やかに開閉し始める。
(よし、効いている)
俺は一気にディープスロートに切り替え、頭を動かしながらねちっこく喉で平井の亀頭を洗う。
平井の腰がぴくんと跳ね、足の爪先が開いたり閉じたりしている。
(・・・どうだ・・・どうだ・・・)
ここらへんでたいていの相手は快感に口を放してしまう。手コキと違ってフェラは呼吸の
コントロールが難しいので本能的に口呼吸で喘いでしまうのだ。
しかし平井は鼻息を荒くしながら小刻みなディープスロート攻めをやめない。
そこらへんが素人と違うところか。
(そんなところでガマンしてないで、諦めてイッちまえよ・・・)
吉岡も平井の変化に気付いているらしく、平井の顔に体を近づけて様子をうかがっている。
「・・・平井君、ギブアップするか?」
平井の右手が放れ、俺の視界の端でヒラヒラと動いている。NOということか。
俺がなおも平井の亀頭をきつく洗う。平井の体がピクンと動く。
「平井君、あんまりガマンするなよ。こないだみたいに口で噴いたら承知しないぞ。」
どうやら噴いた前歴があるらしい。平井は黙々と俺のマラを責める。
(そんなに口で噴きたいなら、強引に噴かせてやるよ・・・)
09
■▲▼
その時だ。俺の脳天をガツンと突き上げるものがあった。
「?」
油断していた。俺のメーターが上がってきたのだ
(・・・やばっ・・・)
俺は平井との一方的な展開に酔い、逆に興奮してマラがふくれてしまったのだ。
「・・んんっ・・・」
平井は気付いていた。俺の呻き声と同時にそれまでの小刻みなピストンを大きく変化させた。
グチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュグチュ・・・
(ああっ)
責めどころではない。このままでは真っ直ぐイッてしまう。
俺が微妙に腰の向きをずらして平井の攻めをそらそうとする。
平井がそんな俺の腰を受け止め、俺の両脚を自分の脇に巻き込んでガッチリときめた。
俺の勃起マラが下に向き、さらに硬くなって平井の喉に押し込まれる。
「・・・おおおうっ!」
会場がざわめく。形勢逆転に気付いたらしい。
平井の振幅がさらに速まる。ここでとどめをさすつもりらしい。
(・・・やばい・・・やられ・・・る・・・)
俺のメーターが急速に上がっていく。
足がばたつく。・・・逃げる方法はないか。
逃げる方法はない。平井に完全に捕まった。
フィニッシュに頭を動かす平井と、バタバタともがく俺。
(負ける・・・負ける・・・)
ちょっと平井の左肘が開いた。
(!)
わらにもすがる思いで、腰をぐっと上に逃がす。
その瞬間、平井の左肘が閉じる。
(?)
平井の体ごと、俺の腰がズンと音を立ててマットにぶつかり
俺のカチカチの男根がその衝撃で平井の右喉にぐいっとこすれる。
(かはっ―――)
俺の忍耐のキーが吹っ飛んだ。
「・・ああいくっ・・・」
俺はあわてて腰をずらそうとしたが、平井の強烈なホールドの前に間に合わなかった。
「・・・・あああああっ!!」
<どくん、どくん>
ザーメンを発射。俺の体をきめている平井の口に、思い切りぶっ放してしまった。
「一本! それまでぇ!」
吉岡が一本を宣告すると、コトの変化に気付いて素早く俺達に寄ってきた。
「ああ~、イッちゃいましたねぇ・・・。」
苦笑いを浮かべて、吉岡が平井の口から白い糸を引いてヒクヒクしている俺のマラを眺めた。
「すいません、つい・・・」
「いいっすよ。俺もこないだ同じコトやっちゃったんで。」
平井が頭をかいて笑う。
「それに、・・・ギブアップが間に合わなかったってコトは、それだけ俺の技が強烈に効いたってことっすよね?」
平井が、いたずらっぽい顔で俺の顔をのぞき込む。
そうなのだ。まさかこんな形で終わるとは・・・
俺は改めて大逆転負けという事実に気付き、思わずギリッと歯を食いしばった。
「寺田さん・・・いきます!」
俺がはっと我に返って平井の方に向き直る。そういえば「儀式」がまだだった。
平井が右手でしごいているマラを俺の頭に近づける。
「おぉら! おぉら!」
どくん、どくん、と平井の噴出する熱く粘っこい液体が俺の頭に降りかかる。
10
■▲
「・・いやあ・・・まいりましたよ・・・」
シャワー室。注ぎ口から流れる無数の水流をごつい体にあてて洗いながら、平井が苦笑する。
「何がです?」
「またあ・・・試合ですよ。」
平井がシャワー室の出口をアゴで指し示す。
「強いっすねえ。最後は俺の技できめたけど、中盤までは圧倒されてたじゃないすか。」
「俺の技、きまってました?」
「きまってましたよ、分かってるくせにぃ。」
平井が白い歯を見せてニッと笑う。
「さっきの決まり手は勇み足みたいなもんで、いつイカされるか戦々恐々でしたよ。
次また同じ条件で試合したらどうなるかなあ。・・・ほら、また立ってきちゃった。」
ニコニコ笑って言いながら、平井は自分の持っているシャワーを俺の背中に当てる。
あのあえぎっぷりはマジだったらしい。老練な平井の戦略ではなかったのか。
こうやって話してみると、平井もなかなか愛敬のある面白いヤツだ。
「へへへ、そう言われると試合やりたくなっちゃうなあ。
俺も負けるのイヤだし、次やるときは思いっきり搾り取らせてもらいますよ。」
「うおっ、いいっすねぇ・・・」
平井の目の色が一瞬変わった。
「俺も負けるつもりないんで、次も思いっきり噴かせてあげますよ。」
平井が右手を差し出してきた。
こんなシャワールームでミスマッチだが、思わず俺は平井とがっちりと握手を交わした。
平井がシャワーの蛇口を止め、持っているシャワーをフックにかける。
ここのシャワー室は10人ぐらいが同時に使えるようになっている。10本のシャワーがフック
にかけてあって、石鹸・シャンプーが添えられている。広い浴槽までセットされていて、シャワ
ー室というより銭湯の設備に近い。たしかに普通のスポーツとは落とすモノの種類が違う。
「でも、どうせ試合ヤルなら勝てるヤツとやりたいなあ。成績にも響くし。」
「・・・成績?」
平井のザーメンをかぶった頭をしつこくシャンプーで洗いながら、フッと平井の方を振り向く。
「あっ、知りませんよね。ここのランキングのこと。」
「ランキング?」
「ええ。ここでは試合の成績によって選手をAからEまでのランクに振り分けるんですよ。で、
試合を積み重ねる毎にそのランクが上下するんです。
俺は今Eランクなんですけど、こないだEランクを2人倒して、今回もEランクの
寺田さんに勝ったんで、もしかしたら次あたりでDに行けるかも知れないんすよ。」
平井はどんどん話を進めていく。
「さっきの武井さんと木下さんは?」
「Cです。」平井が即答した。
「朝木さんと吉岡さんは?」
「どうだろう?でもお二人とも強いですよー。俺は新入りなんでお二人の試合なんて
見てないすけどね。戦ったらどっちが勝つんだろ?」
俺はあの二人が69やってる所を想像してあわてて打ち消し、シャワーの蛇口をひね
って止めた。
「さ、そろそろ出ましょうか?」
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