赤コーナーで、堀野がポンポン跳ねて体をほぐしている。
その向かい側で、俺が首を回しながらストレッチをしている。
尺八レスリング、俺と堀野の30分一本勝負だ。
30分で勝負がつかなければ判定だが、これまで決着がつかなかったことはない。
以前は俺がよく勝っていたが、最近の堀野戦では負けがこんでいる。
昔は辛抱できた堀野の強引なフェラ技だが、このごろは堀野に強くハメられ、
リング中央でザーメンを噴き上げてばかりになってしまった。
「先輩、こんどやらないすか」
堀野にそう肩を叩かれたのが、一週間前。
後輩の堀野に満面の笑みで誘われて、引き受けないわけにはいかなかった。
リング上での俺の悶えっぷりがよっぽどいいのだろう。何度倒しても飽きもせず、堀野は俺に挑戦してくる。
俺としても、リベンジのチャンスが来るのはいいことだが、そろそろ堀野に勝ちたい。
「今度の相手、堀野さんっすか・・・強いっすよね。でもいつもの技が出りゃ勝てますよ。がんばってください。」
・・・仲間の励ましにも、どこか引っかかるものを感じる。去年だったらそういう言い方はされなかった。
しかし、無理もない。ここ数ヶ月、この尺レスのリングで堀野に組み敷かれ、堀野の濃厚なレイプを受けている現場を仲間に何度も見られている。
堀野が両頬をぱんぱんと叩き、右腕を回しながらリング中央に進み出てくる。
ぶっとい二の腕に、強く盛り上がった肩。相撲の勝負でもやろうとしているようだ。
俺も負けずに堀野をにらみつけて進み出る。
俺だって体には自信がある。相撲でも押し負けない、堂々たるレスラー体型だ。
最近ではちょっと脂がのってきたが、まだまだ現役でいけると思っている。
なんならレスリングで戦ってやってもいい。堀野ごとき絞め上げるのは簡単だ。
俺と堀野がリング中央で、がっきとにらみ合う。
上反りに立ち上がった二本の柱も、背比べするように向かい合っている。
太さではちょっと負けるが、長さでは俺の方がでかい。
ぷりぷりにふくれた亀頭がくっつきそうな距離で、俺と堀野が視線を合わせる。
二人の横に、今日のレフェリーを務める門馬が控えている。
いつも通り、白黒のボーダーシャツに真っ赤な競パンという出で立ちだ。
中年レスラーの風格。競パンの中には太いものが左向きに収まっている。
今日はレフェリー役だが、いざリングで競パンを下ろせば太刀打ちできる者はほとんどいない。
「・・・今日も出すまでやるかい?」
レフェリー門馬の、腹から響くようなバリトンボイス。
俺と堀野が視線を合わせたまま、無言でうなずく。
「・・・よぅし・・・・・・・・じゃあ、そろそろ始めるか!」
69の体勢になり、互いの男根を相手に差し出す。
堀野の腰に手をかけると、兜のようにエラの張った亀頭が目の前に突き出される。
少し興奮しているのか、透明なガマン汁が尿道口から少し垂れている。
この小さな尿道口から出る濃厚なザーメンを、味わったことは何度もある。
流れを一気に引き寄せてがんがん責め立ててやれば、堀野は意外ともろい男だったはずだ。
先々週の荒井とのフェラマッチで、堀野は荒井から3度のダウンを喫した。
最後は逆転の放出技で荒井をKOに屠ったものの、思わぬ責められ弱さを露呈した。
そのタイミングで俺を指名したのは、安全牌と思われたからだろう。
・・・そんな相手として、むざむざマットに沈むわけにはいかない。
「・・・いくぞぉ・・・・用意・・・」
門馬の声とともに、俺と堀野がまっすぐ相手に向き直る。
「・・・はじめぃ!!」
カーン、というゴングの音とともに、俺と堀野ががっちりと組み合った。
《ずぶり》
堀野の男根を右手でつかみ、亀頭を口に押し込む。
ガマン汁のきつい塩味が、口に広がる。
同時にヌルッという湿った快感が、腰のあたりから突き上げてくる。
(むんっ)堀野が得意のポンプ責めをきめている。
・・・気持ちいいが、ここで腰はおろか息一つ乱してもいけない。
尺八ガチンコ勝負。
俺は堀野の頑丈な男根を喉深く突き立て、強い責めをくり出す。
いつものことながら、堀野のマラは硬く太い。尺八とはよく言ったものだ。
尺八とまでは言わないまでも、太い肉のリコーダーを吸い上げている気分にさせられる。
左太股を脇に抱きこみ、右膝を手で押さえながら腰の真ん中のつっかえ棒を喉に納める。
堀野の竿がさらに硬直し、スジがつっぱる。
(よしっ、効いてる)
心なしか、タマのあたりに感じる堀野の鼻息が、強くなった気がする。
堀野の反撃も厳しい。
俺の腰を両腕で固定し、頭を鋭く振り立てて硬直した竿をぐいんぐいんと煽ってくる。
(ぐっへ・・・・あっ)
強く柔らかいフェラ。亀頭に何度も吸い付き、ごりごりと擦り立てる。
レギュラーの猛者を何度もマットに沈めてきた荒技だ。
(・・・ぐ・・・・・む・・・・)
責めが止まりそうになるのを何とか思いとどまり、必死に平静を装う。
(がんばれ・・・堀野も効いてるはずだ・・・)
俺も堀野も頭をがんがん動かし、相手のダウンを誘う。
序盤は互角。俺も効いてるが、堀野のマラも強く硬直し、ガマン汁の塩味が薄く広がる。
「・・・おっ、今日はいい勝負だな!」だんだんギャラリーが増えてくる。
・・・そのときだ。
《ごりっ》
(おうっ!)
堀野の強いローリング。俺の腰がわずかに後ろに引ける。
(やベっ・・・)
《ぐちゅぐちゅぐちゅ》
(おおーうっ)
堀野のピストン。・・・俺は口で大きく息をし、突き上げる官能を散らしにかかる。
堀野は俺の腰をがっちりと両手でつかみ、キリをもみ込むように俺の竿を喉に強く突き立てる。
(・・・う・・・・・ぐっへ)
たまらずバタンバタンと足を動かす。かろうじて竿をくわえているが、ほとんど放しかけている。
堀野が頭で8の字を描いて俺を強く追い込む。
(・・・おーうっ・・・)
ついに、俺の中で何かの糸がぷつりと切れた。
「・・・・むんっ!!」俺が堀野の竿から口を離す。
堀野の竿が反りかえってバチンと音を立てる。 「ダウンッ!!」門馬の太い声。
おおおおおっ、というどよめきが、ギャラリーから聞こえる。
(・・・ぐっ・・・おおおおっ・・・)
俺は堀野に責め立てられたままの体勢で上を向き、ハァハァと呼吸しながら腰をひくつかせる。
「テラさんガマンだ! まだまだ粘れるぞ!」
「堀野、そのまま!! そのままやってれば相手沈むぞ! 行け!」
堀野の愚直なピストン。ねちっこい喉が何度も俺の亀頭に張り付く。
・・・この単調な責めが意外と効く。 思わずトントントントントンと腰を突き出す。
「よーし効いてる効いてる! いいぞ! ゆっくり持ってけ!」
俺が左右に腰を振る。 堀野の頭がそれについてくる。
若干引き気味の俺の腰に食らいつき、亀頭に舌を絡める堀野。
(ああーっ)堀野の喉壺は深い。
「いいぞ堀野、相手すごく硬い! 硬い硬いっ!!」
「テラさん力を抜け!堀野の技に乗るな!」
俺は血走った目で前を見すえ、ひたすら息を整える。
俺の太股が堀野の頭をはさむ。かまわず堀野が左右に頭を揺すってくる。
俺の膝がピンと伸びる。・・・おおおおおっ、とギャラリーが反応する。
「寺田くん、ギブアップしとくか?」「ノーノー!」
どんなに強くても、後輩だ。ギブアップするわけにはいかない。
「やっぱり強ぇよな、堀野・・・」
「あんなの食らったら俺耐えられねえよ、よく寺田はまだガマンしてるよな・・・」
最近はレギュラーの中でも堀野の台頭は著しい。
俺より古株の選手が何人も堀野に捕まり、次々とマットに沈んでいる。
・・・俺も、そういうベテラン選手の一人と考えられているのだろう。
俺は腰をヒクつかせながら、こぶしでマットを強くバンと叩く。
覆いかぶせるように、堀野の強いバイブ。俺の体ががくがくと震える。
どうやら、俺をギブアップさせたいらしい。
堀野が俺の腰を両手でつかむ。(おおおおおうっ)真正面からのピストン。
俺は反りあがって耐える。堀野がそこに覆いかぶさる。
(うーんっ)堀野と俺の振動がシンクロする。
レフェリーの門馬がマットに伏せて俺の顔をじっと見ている。
無言なのは、何か門馬が言ったら俺が刺激されてイッちまうと思ってるからだろう。
(・・・くっ・・・・う・・・・・・)
腰の奥で官能がボコボコと音を立てて沸騰する中、俺はなんとか自分をコントロールしている。
(・・・くそ・・・いっ、いっちゃだめだ・・・・・)
「・・・・く・・・・・・・おっ・・・・」
ギャラリーが沸き返る中、中央のリングで俺と堀野の試合が続いている。
6メートル四方のリング。このだだっ広い空間で、俺の押し殺したあえぎ声だけが響く。
30分一本勝負。・・・たぶん、まだ5分かそこらだろう。
時間切れまであと20分以上ある。そこまでは、とても耐えられない。
さっきまでは、俺と堀野がほぼ互角にきつい技を掛け合っていた。・・・しかし、ある時堀野がとっさに出したローリング技がしこたま効き、たまらず俺が強くダウン。それから流れを取り戻せず、防戦一方が続いている。
「・・・くっ・・・・・んっ・・・・」
一度崩れたバランスはなかなか元に戻らない。
必死で息を整えている俺に対し、堀野がのしかかるようにしてフィニッシュホールドらしきものをがんがん打ち込んでくる。
きつい。いつもの練習なら、とっくにギブアップしている。・・・でも、これは試合。しかも相手は堀野。
こんなところで、この俺がギブアップするわけにはいかない。
いつも火花を散らすライバルのレギュラー選手たちも、ぐるっと取り囲んで俺と堀野の戦いを見守っている。中には、近々俺達との対戦が決まっている相手もいる。
そういう奴らは、最近勝ち星が先行する俺たちがどういう戦いをするか興味津々のようだ。
それに、来週再来週に俺や堀野とリングに上がるときのことを想定し、打倒寺田・打倒堀野のシミュレーションをする奴もいる。
奴らとの戦いのためにも、下手な負け方はできない。
もちろん、俺たちより格上のベテランレスラーたちも見ている。そういう奴らにとって、こういう格下たちの潰し合いは、一種の娯楽なのだ。
それに、試合を見ながらいずれ自分を脅かしに来る人間の品定めをする人間もいる。
「堀野ー!! いけー!!」 「もうちょっとだ、小刻みに攻めろー!」
そういう「彼ら」が、堀野にアドバイスを送っている。
・・・もしかしたら、堀野が本命と見ているのかもしれない。
(・・・くっ、くそおっ・・・)
堀野もそれを感じているのか、調子に乗ってガンガン頭を振り、力ずくで俺をイカせにかかる。
(・・・むんっ・・・) 荒っぽい技だ。しかし、こんな技でも今の俺には効いてしまう。
こんなところで、しかも堀野を相手に昇天負けするわけにはいかない。
・・・そんな状態が、2,3分。
・・・俺の意地もあって、なんとかイカずにすんでいる。
堀野の拷問ピストンはこのリングの上で何度も食らった。心も数回折られた。
でもおかげでちょっとは強くなったらしい。まだ、上がってはこない。
堀野の責めが、荒くなっている。焦っているのか。
「堀野、攻めに戻れねえってことはまだ効いてる!チャンスを逃すな!イかせちまえ!」
にわかに堀野のピッチが上がる。(おうっ)危うく俺の官能のキーが飛びかける。
(・・・あ・・あぶねえ・・・・)
足をがくがくさせながら、俺はまっすぐ前を見て呼吸を整える。
「堀野、逃がすな!」
ギャラリーの声とともに、俺の腰にズルンという感触が伝わる。
「おおーうっ」
俺は堀野の反り上がった竿を頬に押しつけられたまま、太股を開閉する。
(・・・い、いくうっ・・・・・いや、まだまだ・・・・・・)
《ずぶり》
・・・なんとか、俺が攻めに復帰する。
紙一重のところで、ぎりぎり乗り切った。堀野が悔しそうにマットをばんと叩く。
堀野の竿はまだ強くふくれている。俺の技が効いていた証拠だ。
堀野の竿根元を右手で握り、エラの張った堀野の亀頭に舌を当ててごりごりといじめる。
堀野の熱い鼻息が股ぐらにかかる。
すかさず腰を両手に持って揺さぶりながらピストン。堀野の股ぐらが軽く開く。
「テラさん、堀野がいい顔だよ! 効いてる!」
ギャラリーの声で勢いづくように、俺がピストンのピッチをあげる。
俺の反転攻勢に心のバランスを崩したか、堀野の太股がわずかに開閉を始めた。
「堀野のモノがカチカチになってるぞ!もっと硬くしてやれ!」
すかさず頭を深くねじこむ。堀野の右足が伸びる。
《ぐちゅり》
堀野の胴体ががくんと反応する。間をおかず俺は堀野のでかいケツをつかみ、
正面から強いピストンをたたき込む。
「おうっ」堀野が声をあげる。「ダウン!!」門馬の太い声。
「・・・・くっ・・・あ・・・・」
堀野の腰がずんずんずんと動く。俺がくわえ込んでいる堀野の太い竿にスジが浮く。
ぐるんぐるんと頭を回す。「あーうっ」堀野の声が高く響く。
「堀野の竿が完全に硬直してる! 今なら落とせるぞ!!」
ギャラリーの声とともに、堀野の鼻息が俺の股ぐらにかかる。
「ぐうーおっ」ローリング。亀頭を浅くくわえて回転を何度も与える。
「・・・堀野、まいったしとくか?」「ノーノーノー!」
門馬の問いかけに堀野の声が揺れる。
俺は堀野の股ぐらを大きく開く。
「おおぉっ!!」堀野の腰の真ん前でズルズルと音を立てる。
「・・・あっ・・・・あっ・・・・」
堀野の手が俺の肩にかかる。俺の頭に触れたらその場でギブアップ負けだ。
堀野の腰がイヤイヤと左右に振れ、ときおりズンと喉を突き上げる。
(ぐうっ)
堀野の突きは強い。俺はたまらずえずきかけながら、その突きを吸収するように
こわばった竿をズルンと喉深くくわえ込む。「おうっ!」堀野の腰が強く引ける。
「堀野、どうした! このままだとマットの上で負けるぞ! 攻めに戻れ!」
ギャラリーの声に奮起しかける堀野の先手をとって、俺が亀頭をごりごりと攻める。
「おうん!!」目の前で強く勃起する肉柱の向こうで、堀野の声が跳ねる。
力強く跳ね上がる堀野の竿を強引に押し下げ、ほぼ垂直の角度でごりごりと技を打ち込む。
「くそっ、ううんっ・・・」堀野の腰が左右にイヤイヤと揺れ、太股が内また気味に俺の両耳をはさむ。
鍛え込まれた太股の大きな筋肉がスジをクイクイと動かす。俺はそれを横目に見ながらチロチロと亀頭の裏に舌をはわせる。
俺は堀野の右太股を抱きこみ、股ぐらを再び大きく開く。
「んがあああああっ!」立たせ捕り。堀野自身とのスパーで何度も受けさせられた技だ。
体全体で覚えているこの技を、相手にもたっぷり味わってもらう。
俺の反対側で、パシャリとデジカメのシャッター音がする。
たぶんオーナーだろう。よっぽど堀野がいい顔をしているらしい。
俺もこの間攻められている真っ最中に正面から写真を撮られた。
あれは、けっこう精神的にくるものがある。
「ああああっ、・・・あああああああああん!!」
ますます堀野の声が湿ってきた。体も小刻みにぴちぴちと跳ねる。
「堀野、ギブアップ?」
「・・・・」
レフェリー門馬の問いかけに、堀野が応えない。
俺の技にギブアップするのは断固拒否。・・・でも、心が揺れているようだ。
俺が頭で大きくぐるん、ぐるんと丸を描く。・・・堀野の上体が大きく反り、鍛え上げた自慢の筋肉が強く硬直し、痙攣してくる。
「おらおら堀野、口パクパクさせてるだけじゃ分からんぞ!」
・・・この声には聞き覚えがある。先日堀野との対戦前、堀野にさんざん先輩面して大口を叩いたあげく、怒った堀野に逆にリングで思いきり立たせ捕りを食って負けた男だ。
あのときは負けたのを体調のせいにしていたが、こういうタイプはずるずると根に持つタイプだ。
声の主に気づいたのか、堀野が真っ赤になってバンとマットを叩く。
そこに俺がすかさずバイブを合わせる。堀野の内股がガクガクと俺の耳をこする。
「・・・ぐっあっ・・・・あうっ・・・!!」
リベンジをねらうレギュラー選手たちが、リング中央で何度も腰を振る堀野を注視する。
「・・・・ぐっは・・・・あん!!」
堀野には気の毒だが、これは試合だ。
俺自身がこうやって、リングの上で何度も犯されて昇天負けさせられた借りは、リングの上でないと返せない。
「ううううううううん!! ううううんっ!!」
亀頭重点責め。堀野の太股が何度も俺の両耳をこすり、ばたんばたんと音を立てる。
堀野のたくましい尻たぶをつかみ、ゆさゆさと揺さぶりながらピストンをたたき込む。
(・・・・どうだ・・・どうだ・・・・!!)
リング中央。 俺と堀野の体がバタンバタンと暴れる。
もちろん主導権は俺だ。暴れる堀野の体をがっちりと抱きこみ、キチキチに立ちきった堀野の太マラを喉でごりごりと削る。
堀野も必死だ。俺の技でマットに沈むのは断固拒否するが、あまりあからさまに腰を引いては戦意喪失、ギブアップともとられかねない。
堀野の押し殺すような息づかいが、にわかに静まったリング上に響く。
なみいる選手たちが、ロープの外から身を乗り出すように俺たちの試合を見ている。
堀野の強烈なピストン技にマットに沈んできた選手達も、チャンスとばかりに俺がくわえている竿の根元や、太い足のばたつきなどを見る。
堀野には悪いが、これは堀野から言い出した試合だ。軽率に俺を指名してしまった代償を、今はこのリング上で体を持って支払うしかないのだ。
「・・・・ぐ・・・・・う・・・・」
堀野の疲弊しきった声が、かすかに聞こえてくる。
かなり危険な時間帯だ。カチカチのまま、一方的に責められ過ぎている。
ここまで責められ続けると、もう戻ることはできない。いつもしのぎきれるカリ舐めや裏スジ責めにも膝が反応し、その太い柱から脳髄へ直接送られる電気信号の強さを表現してしまっている。
・・・そんな中、ついに堀野の心が折れた。
「うっっ・・・・・だめっ、だめだめだめだめ!!」
堀野がうわずった声でリングをバンバンバンバンと叩く。ギブアップの意思表示らしい。
「ん? 堀野どうした?」
レフェリー門馬が声をかける。
「・・・・・ま、負け・・・・・負けたっす・・・・・」
堀野の小さな声が応える。
「・・・それは、ギブアップってことか?」
門馬が問い直す。その辺はいつも妙に細かい男だ。
「・・・・」堀野が一瞬ためらう。
堀野に決断を促すように、俺は強い責めをぐいぐいたたき込む。
「・・・あーっ・・・」堀野の声が一段高くなる。
堀野の体から少し間合いをとり、腰だけをがっちりと持ってはげしいバイブをたたき込む。
「ぐへえええええっ!!」
堀野の胴体が強く反る。俺はかまわず技をたたき込む。
「・・・・ぐっ・・・ギッギブ・・・あうっ、ギブアップっす・・・・」
「・・・ようし・・・一本! それまでぇぇぇ!!」
門馬の声とと同時に、カンカンカンとゴングの音が聞こえる。
俺はその場でずるんと堀野のホールドを解き、上体を起こして両手でガッツポーズを作る。
リベンジ達成。ギャラリーがおおおおおっ、と賛嘆の声をあげる。
「・・・っしゃあああ!!」
俺は大声でほえながら堀野の体を捨てて立ち上がり、たった今リングでしとめた男の分厚い胸板を右足で踏み、レフェリー門馬に勝ち名乗りを受ける。
「一本勝ち!! ・・・勝者、寺田!!」
ドスのきいた門馬の声を受けて、俺は満面の笑みで右手を突き上げる。
・・・我ながら、会心の勝利だった。
堀野はがっくりと仰向けのまま動かない。俺に技をかけられていた体勢のまま、太い竿を弓なりに勃起させながら分厚い胸板を上下させ、ハァハァと荒い息をついている。
勃起力の強い上反りの竿が形のいい亀頭を見せ、ピクピクと動いている。
ふとある考えが俺の頭に浮かび、堀野の股ぐらの方に歩みを進める。
そのまま、その股ぐらの前に膝をついて下方から堀野に近寄り、真ん中にそそり立つ男根を右手でがっちりとつかむ。
「・・・え・・・いや、先輩・・・」
俺は有無を言わさず、股ぐらに顔を埋める。
「《ぐちゅり》!!」」
急に竿をくわえられて、堀野がびくんと反応する。
「いや、先輩、俺・・・」
「せっかくリングに上がって、一滴も出さないのはもったいないだろ・・・」
「いや、いいっす俺、いいっすいいっす、あうっっ!!」
下方からのポンプ。尺八レスリングではあり得ない技だ。
「テラさん、俺・・・おうっ!!」
堀野が俺の頭を両手でつかむ。もちろん俺は放さない。
「おおおおおおおうっ!!」
堀野が俺の頭に手を当てたまま上体をよじり、腰をぐいぐい動かす。
俺の方は堀野の両足を脇に抱え、がっちりと固めている。
「おお、いいぞ寺田!! やれやれー!!」ギャラリーの反応も上々だ。
「先輩、もういいっす! もういいっす! ・・・あおおっ!!」
俺だって、堀野相手に何度そういう台詞を吐いたか分からない。
「むううううううんっ!!」
そんな俺の喉を自慢の巨根でマットに固定し、さらに強くピストンをたたき込んで俺を昇天させたのは、他ならぬ堀野自身だ。
「・・・うっ・・・くっ、くそおおおおおおっ!!」
堀野が怒ったような声で俺に向き直り、下から攻めに入る俺を69に組み替えようとする。
そんなこと、俺がやすやすと応じるわけがない。俺の頭がぐるん、ぐるんと円を描くと
アアッという声とともに堀野の腰が砕け、元の体勢に戻ってしまう。
「先輩俺まいったっす!! ・・・ああああまいったっす!!」
堀野がバンバンバンバンとマットを叩く。俺はかまわず堀野の筋張った竿を深く突き立て、頭を振りつづける。
責めながら顔を見てやろうと思ったが、この角度からは反り上がった堀野の分厚い胸板と、ヒゲを少しそり残したアゴの下しか見えない。
「・・・堀野よぉ、いつもリングの上で先輩方にやりまくってることを、たまには自分もやられてみろや・・・」
ギャラリーのおっさん達の一人が、堀野に声をかける。
「・・・い、いやっす・・・・・・せ、先輩すんませんっす、あうっ!!」
バネ仕掛けの人形のように堀野が反り上がり、勢いでマットでズンと音を立てる。
この期に及んで俺に許してもらおうなんて、考えが甘すぎる。
たまりかねて堀野が俺の頭を太い腕でがっちりと抱え込み、力ずくで止めにかかる。
「・・・先輩、マジで・・・マジで俺やばいっすから・・・」
そんなことで、俺が許すわけがない。
「《ずるん》おうん!!」俺の突然の舌技に、堀野の体が大きく右にねじれる。
・・・ここで何を思ったか、レフェリーの門馬が反りかえった堀野を後ろから上体だけ抱き起こし、後ろから羽交い締めにしてごろんと後ろに倒れた。
「・・・・がっ・・・・」
「・・・へへへ・・・寺田君、やってやれよ・・・」
「・・・・ぐうううううううううううおっ!!」
ギャラリーが沸き返る中、俺の公開処刑。
堀野が狂ったように暴れるが、門馬が上半身、俺が下半身をがっちり固めている。
がくんがくんと痙攣しながら、右を向いて口をパクパクさせる堀野。
その視線の先には、堀野とリングで戦った大勢のレスラーたちがいるはずだ。
そんな中で、またパシャリとデジカメの音がする。
・・・オーナーも、つくづく残酷な男だ。
「・・・だ、だめっす、もうだめ・・・いくうっ・・・・・・!!」
堀野はアンパンマンのような丸顔を大きくゆがめ、両目をぎゅっと閉じる。
「・・・いっ・・・・いぐうおおおおおおおおおっ!!」
《どくん、どくん》
《どくん、どくん》
堀野の断末魔の声に数秒遅れて、勢いよく濃厚な生暖かい液体がじゅじゅっと吐き出される。・・・あまり美味いもんではないが、俺との壮絶な闘いの末に散った男の本気汁だ。そのどろっとした舌触りをじっくりと楽しむ。
《どくん、どくん》
・・・あれだけ攻めてやったのに、ずいぶん濃いザーメンだ。
ザーメンを受けながら見上げると、太い筋肉の鎧に覆われた堀野の体がビクン、ビクンと痙攣している。・・・どうやら、すべてを出しきったようだ。
ややあって、門馬がにやりと笑い、俺と視線を合わせたあと堀野を羽交い締めから解放する。力の抜けた堀野の体がごろんと横たわる。
痙攣しながら、堀野は一言も発しない。歴戦のレスラーどもが注視するリングのど真ん中で俺に思い切り負けてしまったことに対する思いが、黒い炎となって堀野の心を焼き尽くしているに違いない。
俺は遠慮なく堀野の顔のそばに近づき、平手で軽くパンパンと頬をはたく。
「堀野、どうだ・・・俺の技は気持ちよかったか・・・」
「・・・くっ・・・ちきしょう・・・・」
人の好さそうな堀野の丸顔が、ぐっとゆがむ。
「ずいぶん声出してたよな・・・俺に思い切り技かけられて、耐えられなかったんだろ」
「そんなことないっすよ・・・最初は俺が勝ってたし。先輩だって、イキそうだったじゃないすか・・・」
「途中は関係ねえだろうが・・・このリングでたっぷり出したのはどこのどいつだ?」
「譲ってあげたんすよ・・・いつも俺が勝ってばっかりだから」
「その割にはずいぶん未練がましく粘ったじゃねえかよ・・・負けたくなかったんだろ?」
「・・・・・」
「・・・なあ、負けたくなかったんだろ?」
堀野の顔がさらに赤くなり、俺の目をぐっとにらみつける。
「・・・おいおい、もうそろそろリング空けろよ! 次の組が待ってるぞ!」
リング中央でにらみ合っている俺と堀野に、あきれた声で門馬が声をかける。
我に返って周囲を見渡すと、確かに俺たちの後ろで腰に手を当て、試合開始を待っているケツ割れ姿の若い選手が二人待っている。
あまり見たことがない顔だ。ここでもまだ新しい方だろう。
自分たちの試合の前に、ベテラン二人が盛り上がってしまって声をかけづらかったのだろう。二人ともカチカチに前袋がふくらんでいる。試合はきっと乱戦になるだろう。
「・・・いやあ、すんません・・・」
平謝り状態で、あわてて二人がリングを降りる。
「試合時間何分っすか?」
堀野がタイムキーパーを務める選手に声をかける。
「ええと・・・9分42秒っす。」
「・・・へへへ・・・おい、10分耐えられなかったな!」
俺がまた混ぜっ返すと、堀野の顔がまた真っ赤になる。わかりやすい奴だ。
「・・・先輩、またやりましょう・・・もう俺、絶対に負けないっすから・・・」
「言ってろ、堀野・・・まだたっぷり出して欲しいのか・・・」
「ボッコボコにしますよ、先輩・・・俺もう許さないっす・・・」
どうやら、堀野は本気で怒っているようだ。・・・これだから、堀野はおもしろい。
あとで焼酎の2,3杯も飲ませれば、ねじれた機嫌も直るだろう。
シャワールームに向かいながら、俺たちの舌戦は続く。
・・・どうやら、これからもたっぷり楽しめそうだ。