翌週の火曜日。再び「T」のベルを鳴らす。
ドアが開いてオーナーが現れ、中に入れてくれる。
オーナーも赤いビキニ一枚に、緑のTシャツといった出で立ちだ。
Tシャツの袖を肩までまくり上げ、自慢の筋肉を存分にさらしている。
責め合いも強い。俺なんかがやったら思うさまいたぶられてしまう。
にっこりえびす顔のオーナーから金を払ってロッカーキーをもらい、ロッカールームに歩を進める。
土曜日が試合日なら、他の曜日は稽古日。
リングサイドの畳で稽古するのもよし、リングに上がって戦うもよし。
リングで3回勝つと、参加費がタダになる。
火曜日に来たのは久しぶりだ。どんなメンツがいるのか、全く分からない。
スーツをロッカーに掛け、バッグに入っていた黒いビキニに足を通す。
Tシャツを着てロッカーキーを右足につけ、準備完了だ。・・・我ながら、なかなかきまっている。
道場とロッカー室を隔てる黒いスダレをくぐり、中に足を踏み入れる。
薄赤い照明があたりを照らし、R&Bの音楽が雰囲気を盛り上げる。
20畳ぐらいの、道場には少し狭い畳部屋の真ん中に、4m四方の小さなリングが据えられている。
リングの周りには、およそ15人ぐらいの男が所狭しと腰を据え、そのうちの4組ぐらいの男が
盛んに69責め合いを行っている。
見たことがあるのは・・・5,6人ぐらいか。
リング上では二人の男が組み合い、真ん中で盛んに攻防を繰り広げている。
「んっ・・・んっ・・・・」湿った声が聞こえる。
手前に位置する坊主頭の男が、さかんに頭を振りたてる。
この男が、相手に湿った声を出させているようだ。
「・・・あっ・・・」
奥側に位置する男の膝が、かくかくと揺れる。
声からして、20代前半の男か。・・・若い男の試合は、反応が分かりやすい。
「うんん!・・・うんん!」
手前に位置する男の股間から、奥の男の顔が時折のぞき見える。
短い前髪を軽く立ち上げた、角ばった顔の男。
すでに相手のマラから口を放し、前後に頭を揺すっている。
細い目をぐっとつぶり、ハァハァと息をしながら顔を激しくゆがませる。
放出を、必死にこらえている様子だ
坊主頭の技がまったく見えないので、リングの左側に回り込んでみる。
・・・角顔の男の、ごつく筋張ったマラ。なかなかの太さだ。
これを5センチほど残してしゃぶりこみ、坊主頭が小刻みに頭を振っている。
坊主頭は試合慣れしていそうだ。首のスナップのきかせ方がうまい。
「がは・・・」
角顔が足を縦に開き、右足を坊主頭の耳にかぶせる。
角顔の右足に、輪ゴムが2本はまっている。どうやらすでに2つ勝っているらしい。
坊主頭に勝てば、タダで帰れるところだが・・・この調子ではむずかしいだろう。
坊主頭の振幅が遅くなり、ぐちゅっ、ぐちゅっ、と湿った音が聞こえる。
「・・・あっ・・・」角顔の右ひざがぴくんと震える。
反撃したいらしく、対戦相手の腰を両手で捕らえているが、全く責めに移れない。
「・・・くっは・・・あっ・・・・・」
相手にコントロールされている角顔。歯を食いしばりながら、目はトロンとしている。
相手の太マラを5センチ前に見ながら、何もできない角顔。
敵のマラ責め地獄に、完全に捕まっている。
坊主頭の方は冷静に頭を振り、敵の陥落を待っている。
角顔の大腿筋のピクピクを見ながら、坊主頭がゆっくりと回り、カクカクと上下する。
ひたすらこらえる角顔。・・・2つ勝っているなら、技にも自信があっただろう。
しかし序盤で坊主頭に攻め負け、リズムが狂ってしまった。
今はリング中央、観衆の視線を集めながらマリオネットのようにピクピク動いている。
試合ってのはそういうものだ。強い男が、いつも勝てるわけではない。
角顔のいかにも気の強そうな瞳が、官能に踊っている。
分厚い背中の筋をクイ、クイと動かしてこみあげるものを必死にこらえている。
一方で小憎らしいまで冷静な坊主頭。
目の前の獲物が仕掛けた罠に落ちるのを楽しみながら、ひたすら頭を振る。
嫌がる角顔のでかい尻の動きが、次第に不規則になってくる。
10秒・・・・20秒・・・
突然、角顔の節くれ立った手が坊主頭の顔をつかみ、股間からぐちゅんと引き剥がす。
坊主頭の口から解放された巨根が、弓なりにぴくん、ぴくん、と跳ねる。
「・・・まいった。」
角顔のくぐもった太い声が、無念そうに響き渡る。
・・・角顔、陥落。 カンカンカンカンカンとゴングが打ち鳴らされる。
パチパチと拍手が起こる。
さすがに放出まで粘らなかった。そこまで粘るには相手が悪すぎると踏んだらしい。
ごろんと横に崩れる角顔。・・・大またに開いた足の間で、大きな竿がヒクヒクと揺れる。
それを尻目に、坊主頭がレフェリーに手を挙げられる。
全体的に厚みがあって、しっかりした身体をしている。
マラは半立ちぐらいだ。ほとんど角顔に有効な技を掛けさせなかった。
角顔は倒れたまま足を最大に開き、マラを弓なりにそらせてピクピクと痙攣している。
坊主頭に呑み込まれてわからなかったが、20センチ近くある巨根だ。
これをしっかり呑み込んだ坊主頭のキャリアも、相当なものだろう。
ややあって角顔が立ち上がる。極限まで立ち上げられた竿は、弓なりに勃起したままだ。
角顔が無念そうに頭を振りながら、坊主頭の男に歩み寄る。
角顔が、「まいりました」と坊主頭の男に握手を求める。坊主頭が、ニッコリとそれを受ける。
ガッチリと握手する二人。また拍手が起こる。
そそくさとリングを降りる、大柄な二人。・・・ギブアップ決着ながら、いい試合だった。
マラが責めに慣れてしまうため、基本的に連戦は許されていない。
角顔はこのまま終わらせないだろう。相手を見つけて、ふたたびリングに上がるに違いない。
次こそ、3つ目の輪ゴムをはめることができるか。