top of page

031  フレッシュマン戦 <

「あっ・・・・」

俺の右斜め前で立ち上がった男は、堀野だ。

ほとんどケツ割れ揃いのフレッシュマン達の中で、黒い競パンがひときわ目を引く。

がっちりとしたレスラー体型に、ボサついた感じの短髪。

濃い顔立ちの中でも目を引く大きな目に、すでに隠れた闘志が光っている。

フレッシュマンの練習に堀野が加わっているところを見たことがないが、このごろの戦績を

気にしてフレッシュマンにも出入りするようになったのだろう。

 

もう一人立ち上がった男も、黒い競パンを履いている。

平田という、40代後半のレギュラーのおっさんだ。

堀野と年の離れた兄弟のような堂々とした固太りの体格は、やはりレスラーを思わせる。

年のせいで髪の毛はけっこう薄く、浅黒い顔は脂ぎった印象を与える。堀野の十何年後も

たぶんそんな感じになるのだろう。

レギュラーのリングでは大した戦績は残していないが、ねちっこい責めと耐久力は中年の貫禄

を思わせ、若いレスラーにはなかなか嫌な相手だ。

そんな男と堀野が戦うなら、堀野にもなかなか勇気が要ったはずだ。

 

そんな俺の様子に気づく様子もなく、二人が畳の中央に歩いていく。

向かい合って顔を合わせる。堀野はややうつむき加減に視線を落とすのに対し、

平田はやや慣れた様子で堀野の顔を眺め、頬を両手で軽く2回叩き、軽く2,3回ぽんぽんと跳ねる。

・・・この2人が向かい合っていると、まるでプロレスの試合のようだ。

 

堀野もボンレスハムのような太い両腕を軽く2,3回交差させながら足踏みし、ときおり目を上げて

ぐっと平田の顔を睨みつける。

初めの印象よりも、堀野は腹をくくって落ち着いているように見える。

先輩に胸を借りるような心境なのだろう。

 

競パンの股間は、二人ともキチキチに勃起している。両者とも、臨戦態勢だ。

フレッシュマンの畳といえど、レギュラー選手同士が戦えば、立派なレギュラー試合だ。

堀野がフレッシュマン達の前で、どんなレギュラーの闘いを見せるか・・・。

 

二人が競パンを脱ぐと、やや弾力を持ったマラがぐんと跳ね上がる。

堀野は16センチの太い上反り男根が、いつも通り強くそそり立っている。

平田の方も、堀野ほどの長さはないが。太さは堀野並みか、それ以上だ。

互いに頑丈な亀頭を持っていて、それが粘り強さの秘訣でもある。

しかし今回はそれがどう影響するだろうか。

 

「平田さん頼むぜー!」 「堀野、一発かませよー!」

ぽつぽつ混じったレギュラー陣の声も混じって、両者に声援が送られる。

堀野もレギュラーの試合で負けが込んでいるが、きっちりはまれば決して弱い選手ではない。

相手が平田であっても同じことだ。スキなく相手を何べんも責め立てれば、たいていの相手

はザーメンを漏らしてしまうだろう。

堀野がフレッシュマンの練習で一皮剥けて、それをきっちりぶつけることができれば・・・

渡辺や堀田との因縁を晴らすためにも、ここは何か得てほしいところだ。

 

 

門馬の指示で、二人が69の体勢に組み合う。

このごろの堀野は相手を意識しすぎて、かえってペースにはまってしまうことが多い。

相手がベテランの平田となれば、それはなおさらのことだ。

もし負けるとしても、ただ負けるのではダメだ。

平田との技の打ち合いで、うまくペースをつかむことができれば・・・

 

 

 

すでに二人は意識を集中させ、相手の勃起したマラの先を一心に見つめている。

(・・・・堀野、まず5分・・・5分耐えろよ・・・)

 

 

「・・・・始めぃ!」

門馬の声で、両者ががっぷりと69に組み合う。

 

 

 

こちらから直接見えるのは平田の頭。堀野の腰から鋭角に突き立った男根をきつくくわえ、

しゃくり上げるように上下に刺激していく。

この技なら堀野の亀頭が直接舌や喉に当たり、強烈な刺激を与えることができる。

さすがベテランのレスラーだけあって、攻め方も堂に入ったものを感じる。

堀野も忍耐強い男だが、これを食らってしまうと長く持たせるのは難しいだろう。

 

堀野の方に目を向けると、堀野もなかなか冷静に攻めている。

平田の使い込まれた男根を浅くくわえ、円運動を中心にねちっこく頭を揺すっている。

いつもの堀野なら喉責めを中心に激しく頭を動かすところだが、今日はずいぶん淡泊な印象

がある。スタイルを変えようとしているのかも知れない。

顔だけ見ると、何もないような表情で互いのタマのあたりを眺め、無心に頭を振っている。

真剣勝負。レギュラー同士、一瞬でも心のバランスを崩した方がリングでザーメンを噴き上げる。

張りつめたような緊張感。・・・そのせいか、こころなしか声援のトーンも低いように感じる。

 

フーッ、フーッ、という鼻息が漏れて聞こえる。

レギュラー同士の、長い耐久戦。互いの亀頭をヤスリで削るような濃い責め合いの中で、

カチカチに固められた二人のマラが悲鳴を上げ始める頃だ。

二人の頭の動きが、だんだん不規則になってきた。そろそろ互いに勝負をかけはじめたか。

スジの浮いた太い柱を頬張り合いながら、十字、8の字、多彩な技を掛け合う。

 

 

ベテラン相手に、堀野もいい動きをしている。

平田の強烈な技を食いながらやっているとは思えない。

むしろ、平田の動きよりもいいとさえ思えるぐらいだ。

 

 

 

 

(・・・いや・・・)

 

いや、気のせいではない。

堀野より、平田の動きの方が、どこか落ち着きがない感じがする。

ブンブンと左右に頭を振ったかと思うと、突然頭を回したり、前後に揺すったりしている。

技の切り替えはよくあることだが、心なしかその動きに独特の粘りが感じられないのだ。

 

 

(・・・平田が、攻め負けている・・・?)

 

 

そう思いながら見ているうちに、平田が目の前で右足のポジションを切り替えた。

それに合わせるように、堀野が頭を動かして平田の右太ももについていく。

やや後ろに下がった右太ももに頭をのしかかるようにして、グルングルンと頭を動かしている。

 

いやがるように、平田が太ももをゆっくりと前に出す。

堀野がそれを右手で押さえるようにして両足の間に頭をすべり込ませ、今度はウンウンと

うなずくように頭をゆっくり前後に動かす。

(・・・間違いない・・・これは堀野が・・・)

 

そう俺が思った瞬間、ベテラン平田の腰がピクンと引いた。

「んっ・・・」平田のくぐもったような声。右ももを堀野の耳にのせ、その足をピンと伸ばす。

堀野がぐるん、ぐるん、と頭を回す。平田の足首がカクンと反応する。

堀野が平田のケツを両手に持ち、ぐっと押し込むように平田の体ごと腰を引き込む。

平田が腰を右にひねると、堀野が畳についた平田の左足を脇にぐっと抱えて固め、右腰を

右手で押してさらにひねり上げる。

 

 

・・・そのときだ。

「・・・あっ・・・!!」 平田が勢いよく頭を跳ね上げる。  

平田にくわえられていた堀野の男根が勢いよくバチンと音を立てて跳ね上がる。

「ダウンッ!!」門馬が大きく声を張り上げる。

・・・おおおっ、と取り巻きの連中が声を上げる。

(・・・堀野の奴、やりやがった・・・)

 

 

しかし、門馬はカウントを取ろうとしない。特別ルールでも決めてあったのだろうか。

レギュラー同士の闘いのせいか、他の人間も固唾を呑んで見守っている。

静寂の中、アッ、アッ、という平田のうめき声だけが道場に響く。

片ポンプ固め。・・・左足をがっちりきめ、平田の腰をひねるようにして畳に押さえつけ、

ほぼ真上からこじるように堀野が頭を回す。

押さえつけられた平田の頭がブンブンと動き、右足が、堀野の手の下でピクピク跳ねている。

「・・・ぐおっ・・・」

平田が険しい形相でアゴを上げ、口を大きく開けてハァハァ息をついている。

 

俺はただ呆然とその様子を眺めていた。・・・あの堀野が、ここまで平田を攻め上げるとは。

 

 

平田からダウンを取ってからも、堀野の攻めは変わっていない。

ガクガクと痙攣する平田の足腰を押さえ、しつこくねちっこく相手の亀頭をこね上げている。

平田をイカせるチャンスと焦らず、今の堀野はひたすら平田の亀頭に焦点を絞っている。

 

「あ、あっ・・・・」

平田の苦悶の表情。・・・この表情では、10カウントじゃ攻めに戻れなかっただろう。

むさ苦しいケツ割れ姿の男達にぐるっと囲まれ、広くとられた空間の真ん中で若い堀野にガッチリと抱きつかれた中年男の体が、不自然にヒクヒクと動いている。

ハッ、ハッ、という呼吸音の合間にアッという短いうめき声が混じる。全て平田の声だ。

堀野のレイプショー。もだえる相手の突っ張った太い竿にタコのように吸い付き、グングンとうなずく。

時折グルングルンとでかい頭を回すと、平田の腰が一緒に動き、足がガクンと突っ張る。

思わず手を貸したくなるが、これは堀野と平田の試合。

平田があきらめてザーメンを出してしまえば、いつでもこの試合は終わる。

当の平田が敗北を拒否する以上、手を出してやるわけにはいかない。

 

土俵際に追いつめられた平田を、堀野がなおも無情に追い込む。

ヒクヒクと痙攣を続ける平田の股間に頭を埋め、平田のマラをつっぱらせて呑み込む。

平田の太腿がややウチマタぎみに堀野の頭を挟み込み、膝から下はカクカクと動いている。

相手の両足に頭を挟まれながら、堀野の目は無表情に平田のタマのあたりを見据えている。

平田のカリ首を強くくわえて小刻みに頭を揺すると、平田のケツの筋肉がピクンと動く。

もはや、一方的な試合展開。・・・俺が堀野の相手だったら、あれだけの時間耐えられないだろう。

 

 

「平田さんファイトー!」

その声で我に返ったのか、平田が目を見開いてガバッと堀野の腰を捕まえ、まだギンギンに

立っている堀野の太いモノをぐっとつかむ。

途端に堀野の頭が平田の股間の前で激しく動く。アアッと声を上げて平田が上を向く。

「・・・ぐっ・・・あおっ・・・」暴れる平田の腰を押さえ、堀野の頭を振る振幅が大きくなっていく。

体がつかない程度の中距離。その間合いで対戦相手のマラだけを一心に攻める堀野。

平田のでかい尻が動き、膝が揺れる。平田の体内を高電圧の電流が何度も走る。

 

平田と同年代のベテラン達も、太い腕を組んで一心にその様子を見ている。

黒い競パンを履いた現役のレギュラー選手達。平田とも何度か闘っているはずだ。

「いや、すごいねー」と言いながらニコニコ笑って見ているが、股間の方は強くふくれている。

 

 

「・・・が・・・あっ・・・」平田の額に太い青筋が浮き、顔が真っ赤になっている。

普通の選手ならこうなる前にいってしまうところだが、平田の強靱な耐久力がそれを防いでいる。

堀野の太いマラを口の手前5センチで止め、キチキチに膨らんだ亀頭を睨んで震えている平田。

勝利を目前にしながらどこか落ち着き、亀頭をくわえてひたすら円運動や8の字運動を繰り返す堀野。

 

「平田さーん! ギブアップしてもいいよ!」

門馬が平田に声を掛ける。レフェリーのセリフとしては少し問題発言だ。

「・・・いや・・・あぅっ・・・大丈夫っすよ・・・」

体をがくがく揺らしながら、平田が声をしぼり上げる。

「・・・ぐっ・・・おぅっ・・・」堀野が畳みかけるように亀頭をくわえて頭を回す。

「・・・くそっ・・・あ・・・!!」平田が体を反り上げて、ブリッジぎみに悶絶している。

 

ここで、やっと俺の頭に一つの言葉が浮かんできた。

(・・・『立たせ捕り』・・・)

俺が堀田に負けた忌まわしい試合の前に、若い奴らがやっていた責めだ。

亀頭に拷問を重ねて、薄皮を剥がすように相手の気力を奪っていく。

最初フレッシュマンに堀野が混じっていたことを疑問に思っていたが、もしかしたら堀野は

これを習得するために・・・。

 

「・・・ぐおおっ!!」

平田が低い声で一発吠え、強引に堀野の太マラを口に押し込む。

「んーっ! んーっ!」堀野の技に全身を震わせながら、堀野の亀頭をちぎり取らんばかりに

頭を激しく振っている。

堀野の尻がピクン、ピクンと2回跳ねる。・・・さすがにそこはベテラン選手の貫禄だ。

しかしそれを振り払うような堀野の8の字責め。・・・・2回・・・3回・・・何回も愚直に繰り返す。

平田の責めが、ピタッと止まる。・・・ゆっくりと、堀野のしつこいローリング攻め。

堀野のマラをくわえたまま、平田の膝が揺れている。

しかし、それでも平田は堀野のマラを放さない。

 

「・・・んんんっ・・・」

堀野の小刻みなピストン。バタバタと動く平田の足を押さえ、何度も何度も亀頭を喉に突っ込む。

しつこい技で、強引に平田をダウンさせようとしているようだ。

平田が高速で腰を振る。・・・振っていると言うより、振らされていると言った方が正しい。

「平田さん、ガマンしすぎるとやばいよ!」ギャラリーの中の一人、黒競パンを履いた40代

後半ぐらいのおっさんが、手でメガホンをつくって平田に向けてどなる。

「・・・んっ・・・んーん・・・!!」

平田はムキになって堀野の股間をがっちり固める。ベテランレスラーの意地か。

「口を放せ、平田さん!」

平田が言うことを聞かない。鼻息を荒くしながら、気力をふりしぼって若い対戦相手の亀頭を

左右に振り回している。

・・・ふつう、ここまで追いつめられたらそう粘れないものだ。平田だからできる粘り。

でも、そのことが今は堀野の圧倒的強さを強調する結果となっている。

堀野も鼻息を荒くしながら膝を大きく開く。互いに股間を大きく立たせ、地獄のポンプ合戦。

 

 

 

・・・密度の濃い沈黙が、10秒、20秒と続く。

 

 

 

「・・・・おうっ!!」

 

平田がついに脱落。背中の筋肉をこわばらせ、はじかれたバネのようにピンと反った。

「ダウン!」ワーッという歓声とともに、堀野が素速いピストンを打ち込む。

すでにエネルギータンクが空に近い平田。悲鳴に近いうめき声を上げる。。

疲れ切った中年男に若い堀野が容赦なく襲いかかる。

ベテランの中年レスラーが必死に守っているプライドを、喉と舌でゴリゴリと削り取っている。

機械仕掛けのような平田の動き。最後の一線を若手に譲るまいと必死に踏ん張っている。

「きまったな」さっきの中年のおっさんが、頭を横に振って席を立つ。

 

 

平田にしてみれば、若いのをちょっとイジめてやるつもりで畳に上がったはずだ。

このフレッシュマンの畳に上がった、武骨で不器用そうな若いレスラー。・・・自分が本気

でこの男に攻め負けることになるなど、思ってもみなかっただろう。

しかし、後悔してももう遅い。・・・試合である以上、待ったはきかない。

この試合を止めるには、ケツ割れや競パン一丁のレスラー達に囲まれた畳の上でザーメンを放出

するか、目の前の堀野にギブアップを言わなければならない。 その刻限が、もう迫っている。

 

「・・・んっふ・・・・あぉっ・・・・・」

声にならない声を上げながら、ベテラン平田のマグマが少しずつ上がってくる。

 

・・・・・・

 

「・・・・あぅっ・・・・!!」

突然平田が堀野の頭に手を掛け、ぐちゅっと音を立ててそれを引きはがす。

極限まで硬直した平田の男根がぶるんと跳ね、ぶらぶらと揺れる。

 

一瞬の沈黙が、試合場を支配する。

 

 

「・・・ギブアップ・・・」 平田の、押し殺したような低い声。

 

 

「一本! それまでぇ!」 

門馬が大きく右手を挙げる。ワーッと歓声が起こる。

 

・・・ついに、平田が陥落。堀野がガバッと上体を起こし、顔をほころばせて両手でガッツポーズを作る。

40代後半のベテラン選手を気迫で追い込み、何度もダウンさせせ最後はギブアップで勝利。

・・・これは、大金星と言えるだろう。

 

平田の固太りの体が、力を失ってドスンと転がる。

ヒザを立てた状態で仰向けに倒れ、真ん中にそそり立つ上反り男根がヒクヒクと糸を引く。

分厚い身体の力が全部抜け、ややねじれた格好でダウンしている。

堀野の強烈なポンプ固めに潤んだ目。やや開いた口の端から一筋のヨダレが垂れている。

短く太い足はときどき思い出したように、ヒクヒクと痙攣する。

 

平田が一度体を起こそうとするが、しばらくしてあきらめてまたズンと畳に転がる。

・・・・腰が抜けてしまったようだ。

元気な堀野の挑戦に全身全霊で応え、最後は無惨に砕け散った。

勝負師らしい、砕け散り方だ。

 

 

 

 

ややあって、平田がゆっくりと上体を起こす。

四つんばいに体を支える平田の二の腕がガクガクと震えている。まだ勝負の余波が体に残って

いるようだ。あれだけの勝負をすれば当然だろう。

勝負に敗れたレスラーの哀愁が、その広い背中から伝わってくる。

堀野が心配そうに平田の様子をのぞき込んでいる。

勝負が終われば、ただのリーマンレスラーだ。

平田がそれに気づき、丸い顔をにんまりとほころばせてその背中をぽんぽんと叩く。

「・・・まいった!!」低い声で一言だけ発し、ガッチリと握手をする。

堀野が恐縮するように頭を下げながら、その握手を受け止める。

 

その姿を見ながら門馬が堀野に近づき、サッとその左手を挙げた。

 

「一本勝ち! 勝者、堀野!」

bottom of page