「赤コーナー、荒井選手! 青コーナー、持田選手!」
呼び出しの声にしたがって、二人の男がリングのサイドロープをまたぐ。
持田と荒井。・・・30代後半、ベテラン同士の闘いだ。
荒井は最近試合によく出ているが、持田は約2ヶ月ぶりのリング。
175センチ、85キロ前後のがっちりした両者。コーナーから仁王立ちでにらみ合っている。
持田も中堅クラス。荒井とは何度もリングで闘っている。
荒井が浅黒い肉体をしているのに対し、持田の体の白さは平均的な日本人のものだ。
短く刈った前髪をジェルで軽く立てた陽気でユーモラスな顔立ちは人を和ませるが、
ゴツゴツした体つきと太い首は、普段の黒いスーツでは隠し切れない。
今は光沢の入ったエメラルドグリーンの競パンを大きくふくらませ、腕組みをして試合開始を待つ。
最後に荒井と対戦したときは、神経をヤスリで削り合うような激しい責め合いのすえに
紙一重の勝負を荒井がモノにした。
接近した闘いとはいえ、リング中央で思いきりザーメンを噴いた持田としては、当然今回
リベンジを狙っているはずだ。穏やかな持田の目の奥に揺るぎない闘志を感じる。
レスラーのような体つきの両者。パッと見には海水浴場に来た二人の若パパのようにも見えるが、
二人の競パンを突き破らんばかりのふくらみは、明らかにこの試合の目的を物語っている。
よく見ると、マットの上で軽い足踏みをしたり、さりげなく相手の下腹あたりに視線を合
わせたり、一つ一つの行動にどこか落ち着かないものを感じる。
ベテランの二人が、互いの無防備な弱点を全力で責め合う。
互いにリング上で相手に搾り取られた経験があるし、互いの技に長くは耐えられない。
レフェリーの指示に従って、両者が中央に進み出る。
競パンを脱ぐと、勢いよく勃起した三十代後半の男根が二本飛び出す。
持田も荒井の太チンほどの長さはないが、太さもカリの張り具合もなかなかだ。
ここのリングで、えげつないおじさんレスラー相手に何度も試合を重ねて鍛えられたものだ。
69の形に横になり、両者が上反りに立ち上がった相手のタマのあたりを見つめる。
・・・・・
「始めぃ!!」
両者がバネではじかれたように、互いの股間に食らいついた。
開始1分・・・静かな展開だ。
ベテランらしい、しつこくねちっこい攻め。
頭を速く動かさず、舌や喉で相手の弱いところを強く攻め上げていく。
互いに腿も膝も動かさないが、もうすでに強烈な技に入っている。
激しい心理戦。下手に動くと、相手の強烈な技にすぐからめ取られてしまう。
俺がふと横を見ると、次の試合に出る田中がウォーミングアップをしている。
田中は次の試合で、日高という俺の知らない男と当たる。
先週の試合で格下の渡辺に強烈な放出負けを喫した田中としては、今日の試合は絶対に落と
せないはずだ。
「どうっすか、今日は・・・」
リングから目を離さないまま、田中に声を掛けてみる。
「はは、相手次第っすよ。私やったことないですし。分からないっすね。」
「新しい人みたいですね」
「らしいですよ。若くて元気がいいってんで、オーナーが一目で気に入ったらしいっす。
攻めもなかなかよくって、フレッシュマンの奴を2回噴かせたらしいんで・・・俺、
ちゃんと耐えられるかなあ。」
頭を掻きながら、田中がそう言って笑っているが、内心の方は分からない。
要するに、田中はその日高という男の実力を図るための選手として、今日の試合に出るのだ。
体のいい当て馬のようなものだ。田中もきっちり勝ってやりたいと思ってるに決まっている。
リング上の方は、試合開始2分ほどで早くも動きが出てきている。
両者の太ももが不規則的な方向に動き、ときおりクイと伸び、マットを軽く擦る。
この二人の試合はいつも展開が早い。持田もブランクを感じさせない試合運びをしている。
持田が荒井の舐め技にケツの筋肉をピクッと動かしつつ、股間に頭を突っ込んで荒井の
太ももを強く引きつけ、持田が頭を下げると逆に荒井の膝がクイッと伸びる。
「いい攻めの応酬だなあ・・・」そう言いながら田中がケツ割れの股間をふくらませる。
「あんまり見てると不利だってわかってるんすけどね、つい見ちゃうんすよ。」
田中が頭を掻いて笑ってみせる。
「まあどんなに気を遣っても試合になったらギンギンに立つし、普段通りでいきますよ。
何とか勝ってやりたいっすけど、もし逆に新人君に攻め負けておもいっきり噴いたら、
遠慮なく笑ってやってください。」
その時だ。
持田が何度目かで深くマラをくわえ込んだとき、荒井の腰がガクンと跳ねた。
「・・・あ・・・」俺と田中が同時に体を起こす。
ねらいすましたように持田がぐるんと頭を回す。荒井が低くアッと声を上げて口を放す。
ダウンだ。はじかれたように持田の上反りマラがバチンと腹にぶつかる。
「・・・うおお・・・」隣の田中が思わず反応する。
ギャラリーがどよめく中、荒井が慌てて持田のマラを握り、押し下げてくわえ直す。
再び69に入る荒井。何事もなかったかのように持田の上反り男根に舌を絡めるが、
どこかがぎこちない。
ダウンしてしまったことで、荒井の中の何かが動揺しているにちがいない。
一方、持田の方はどこか責めに余裕を感じる。 しつこく、からかうような亀頭攻め。
持田のねちっこい回転運動に、緩慢な動作で静かに開閉する荒井の太もも。
二人の間の何かが、確実に変化している。
しばらくすると、荒井の腹の奥からしぼり出すような声が聞こえるようになった。
「・・・・んっ・・・・んっ・・・・」
ときおりケツの筋肉にピクッと力が入り、右ヒザが大きく左右に揺れる。
その反応を、右ケツに当てた右手で感じ取りながら、するどく股間に攻め入る持田。
「・・・んっ・・・うーん・・・」
荒井の太もものスジがピクンと浮く。いつの間にか攻めも止まっている。
ダメを押すように、持田の頭がぐるんぐるんと動く。
明らかに、荒井のダウンを誘っている。
「・・・ぐっ・・・うっ・・・」必死にダウンを拒否する荒井。
攻め勝てると確信したか、持田はさっきから攻めを変えない。
持田の動きに合わせて、荒井の腰がつよく跳ねる。
荒井の腰の跳ねを上手く吸収し、逆にそれを荒井の竿に伝える持田。
「ぐ、うん」時折、荒井の太い右足がピンと伸びる。
それを確認したかのように、持田が強くぐるんと頭を回す。
「・・・ぐっ・・・んっ・・・」荒井の声が少しずつ短く、高くなっていく。
バランスを崩した荒井に持田がどんどんつけ込み、一歩ずつ荒井を追いつめていくのがわかる。
チャンスを見つけたら決して離さず、必ず最後まで相手を攻めきる。
ここの戦いの大原則だ。・・・自分がやらなきゃ、荒井が代わりにそれをやる。
大きく崩れた心のバランスを、
・・・・
「・・・あうん!!」
ついに荒井がダウン。上半身をひねってマットに頭をつける。
おおおおっ、というギャラリーの歓声。荒井がチッ、と強く舌打ちする。
「・・・くっそ・・・!!」怒ったような荒井の声。自分に向けて気合いを入れている感じだ。
かまわず持田が食らいつく。もう、フィニッシュホールドへの道筋が見えてきている。
荒井が必死に持田の腰に抱きつき、自分の腰をピクピクピクと動かす。
持田が無表情で荒井の男根を左手に持ち、レロレロレロと亀頭を舐める。
荒井の腰がビクビクと震える。 おおおおっ、というギャラリーの声。
ギャラリーに刺激されたか、荒井が右手でバンとマットを叩き、自分を鼓舞する。
こんな所でいってはいけない・・・そういう荒井の気概がひしひしと伝わってくる。
荒井もレギュラーの選手らしく、なかなか土俵を割らない忍耐力を持っている。
ふつうの選手なら、これだけの責めを食らえばとっくにいっているだろう。
持田も荒井の忍耐力はよく分かっている。荒井の太い腰を両手に持ち、正面から亀頭をくわえ
こんでグチュ、グチュ、グチュと音を立てる。
単調で、規則的な攻め。それでも今の荒井の硬直したマラには効いてしまう。
単調な責めを繰り返すことで限りない責めを印象づけ、対戦相手の心を少しずつ折っていく。
ベテラン持田の、試合テクニックの一つだ。
「・・・う・・・うん・・・」
土俵際であくまでも敗北を拒否する荒井。しかし視線はすでに半ばとろけている。
いま下を見たらいってしまう。自慢の太い柱が青スジを立てて赤黒くふくれ、それに同年代の
ライバルがねちっこく食らいついている。
ちょっとブランクのある対戦相手。同じ週にフレッシュマン上がりの男に負けているだけ
に、なおさら今日だけは落としたくない試合。
浅黒い顔を赤鬼のように紅潮させ、ぶるぶると震えながら必死に放出をこらえる。
紙一枚分残っている理性を突き破らんばかりに、ライバル持田が何度も頭をしゃくり上げる。
今にも崩れそうな荒井。口の端からヨダレが垂れているが、もうなりふり構っていられない。
ここで突然持田が豹変した。荒井の太いマラを奥まで突っ込み、不規則にピストンをくわえる。
「・・・おおおおおおおう!!」
どうやらフィニッシュホールドに入っているようだ。イカセどころと踏んだか。
荒井の頭が不規則にブンブンとふれる。持田の技で沈むことをあくまで拒否し続ける。
「・・・ぐっ・・・あっ・・・・!!」
釣り上げられた魚のように荒井のでかい体がバタバタと跳ねる。
深さと角度を変え、荒井の尿道口を、裏スジを、横っ面を、しつこく攻め上げる持田。
荒井の何度も跳ねる体を力ずくで押さえ、ガクガクガクと頭を使う。
荒井が自分の技に落ちようとしている。後は時間を使うだけだ。
5秒・・・・
10秒・・・・
15秒・・・・
ついに、荒井の心が折れた。
「・・・・・・あっだめ・・・まいった・・・・・!!」荒井のしぼり出すような声。
カンカンカンカンッという激しいゴングの音が響き、持田がマラを放す。
荒井がごろんと大の字になるとすぐに白く濃い液体が噴き上げ、荒井の体にじゅじゅっとかかる。
ワーッという歓声が場内を包む。持田の一本勝ち。
荒井は少し体をねじった状態でピクピクと痙攣し、歯を食いしばりながらザーメンを放出している。
「・・・いっぽんっ!」持田が大きく声を上げる。
負けん気の強い荒井なら、ふつうはつかみかかる場面。だが、ザーメンを放出している荒井には
まだその余裕はない。
持田が荒井に見せつけるように、リング中央に仁王立ちで高々とガッツポーズする。
荒井は何も言えないまま、分厚い胸板に幾筋もの白い線をつけて仰向けに痙攣している。
この二ヶ月のブランクで持田が何をしていたかは知らないが、見事な完全決着となった。
「試合時間6分16秒、反り亀頭責め、・・・勝者、持田!!」
レフェリーが持田の右腕を高々と上げる。
持田は満月のような顔でにんまり笑い、ギャラリーの声に応える。
そして、すぐ荒井の倒れているところに寝転がる。
何をしているのかと思えば、小さな声で荒井に話しかけている。
「・・・どうっすか・・・気持ちよかった?」小さな声がもれ聞こえる。
穏やかなように見えて、意外と持田はこうやって倒した選手をいたぶるのが好きだ。
「・・・くっそ・・・」荒井がくやしそうに持田の首筋を引き寄せ、マットに叩きつける。
この二人の試合ではよくあることだ。誰も驚いた様子を見せない。
「・・・さっ、俺の出番だ!」
隣で、田中が勢いよく立ち上がった。